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ナチ ホンノリャクダツ

ナチ 本の略奪

発売日 2019/07/15

判型 A5判   ISBN 978-4-336-06321-2

ページ数 436 頁   Cコード 0022

定価 3,520円 (本体価格3,200円)

内容紹介

ナチが略奪したのは美術品だけではなかった。世界を思想的にも制覇しようという彼らの野望にとって、厖大な量の本や資料を略奪し、それを用いて「敵」を研究し尽くすことが、不可欠な手段だった。
ナチは「野蛮な知の破壊者」ではなかった。「敵」を知るために厖大な本や資料を読み尽くし、それを利用し歪曲して、ナチの視点から世界史を書き換えるという壮大な目論みが、本の略奪の動機だった。
戦争末期の混乱のなかでナチが略奪した大量の本は失われ、叢書やコレクションは四散した。戦後ソ連に運ばれたまま戻らぬ本も多い。ドイツの多くの図書館は、失われた叢書を補填すべく、出所を確かめぬまま略奪本を受け入れた。今世紀になり、そのような略奪本を洗い出し、もとの所有者やその子孫に返還する運動が進行中である。 
著者はヨーロッパ各地を訪れ、本の略奪、蔵書の消滅や四散、そして返還の現在を、新資料とともに検証している。
スウェーデン「Foundation Bengt Janson's Memorial Fund Prize 2018」受賞作品。

「このような歴史は、今なおわれわれを驚愕させる。研究者たちが新たな問題を掘り起こし、新たな手がかりを辿ると、初めて明るみに出る事実が今なお存在する」(シカゴ・トリビューン紙)
「思想史、探偵小説、略奪本返還運動の記録が渾然一体となったこの本は、読者の興味をかきたてずにはおかない」(ロサンジェルス・レビュー・オブ・ブックス)

著者紹介

アンデシュ・リデル

ジャーナリスト、編集者、ノンフィクション作家。スウェーデン・メディア・グループの文化部門の責任者として、14の新聞社の芸術と文化分野を担当している。ナチについての2作品『ナチ 本の略奪』、『The Looters』は16か国語に翻訳された。

北條文緒 (ホウジョウフミオ)

1935年東京に生まれる。東京女子大学文学部英米文学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。東京女子大学名誉教授。イギリス小説、翻訳研究専攻。
英文学に関する著書・編著の他に、『ブルームズベリーふたたび』『猫の王国』(ともにエッセイ集、みすず書房)『翻訳と異文化』(みすず書房)。
訳書に、E.M.フォースター『眺めのいい部屋』『永遠の命』S.ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』A.ホワイト『五月の霜』A.ホフマン『ローカル・ガールズ』ケイト・フォックス『イングリッシュネス』『さらに不思議なイングリッシュネス』(いずれもみすず書房)アンデシュ・リデル『ナチ 本の略奪』(国書刊行会)など。

小林祐子 (コバヤシユウコ)

1929年東京に生まれる。東京女子大学外国語科卒業。米国ミシガン大学留学、米国大使館勤務、国際基督教大学教育学修士課程修了。東京女子大学名誉教授。英語学、英語教育専攻。
 著書に、『身振り言語の日英比較』(英語教育協議会[ELEC])『日英語比較講座1巻──文化と社会』(共著、大修館書店)『英語指導ハンドブック1』(共著、大修館書店)『英語教授法辞典』(共著、三省堂)『英語図詳大辞典』共著、小学館)『しぐさの英語表現辞典』(研究社。大学英語教育学会[JACET]1992年度学会賞受賞)
 訳書に、J.L. クック他『生きた英語の上達法』(共訳、研究社出版)モリー・ハリスン『台所の文化史』(法政大学出版局)

目次

序章 
第1章  世界を焼き尽くす炎 
第2章  ベルリン市立図書館の亡霊たち 
第3章  ゲーテの槲
第4章  ヒムラーの蒐書 
第5章  エルサレムと闘う戦士 
第6章  イスラエルの苦難への慰撫 
第7章  フリーメイソンの秘密の追跡 
第8章  レーニンがここにいた 
第9章 蔵書の消失
第10章 民族の破片 
第11章 製紙工場は本の墓地 
第12章 タルムード軍団 
第13章 ユダヤ人不在のユダヤ研究 
第14章 荷馬車一杯の靴 
第15章 本は家路を辿る 
謝辞 
訳者あとがき 
参考文献 
索引 

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