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60年代チェコスロヴァキア映画祭
チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ開催!
国書刊行会より公式映画本刊行決定!

更新日:2017/09/22

1968年「プラハの春」と呼ばれる自由を求める民主化運動が最大の盛り上がりをみせたチェコスロヴァキア。しかし、ソ連の介入・市街地への戦車の侵攻という「チェコ事件」によって押し潰される結果となりました。本映画祭では「自由と抵抗」をテーマにし「黄金の60年代」と呼ばれたチェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグの作品群を紹介します。
政府に批判的な作品と判断されてニェメツ監督が逮捕され国内での上映が禁止された『パーティーと招待客』と、日本初公開となる『愛の殉教者たち』。そして「プラハの春」の象徴ともいうべきヒティロヴァー監督の『ひなぎく』の3作をメイン上映とし、日本でもよく知られているゼマン、メンツェル、イレシュなど、さまざまな監督の作品を全9プログラムで上映します。

歴史ものや社会派映画ファンはもちろん、シュールでキッチュなかわいさ満載のシュヴァンクマイエル作品ファンや、チェブラーシカなどのチェコアニメファンまで、必見の映画祭。


[上映プログラム]
  • A 『パーティーと招待客』 監督:ヤン・ニェメツ
  • B 『ひなぎく』 監督:ヴェラ・ヒティロヴァー
  • C 『愛の殉教者たち』 監督:ヤン・ニェメツ
  • D 『狂気のクロニクル』 監督:カレル・ゼマン
  • E 『大通りの商店』 監督:ヤーン・カダール、エルマル・クロス
  • F 『受難のジョーク』 監督:ヤロミル・イレシュ
  • G 『火葬人』 監督:ユライ・ヘルツ
  • H 『つながれたヒバリ』 監督:イジー・メンツェル
  • I 『闇のバイブル/聖少女の詩』 監督:ヤロミル・イレシュ

上映時間や詳しい内容はこちらから

映画祭チラシはこちらからダウンロードできます。




「チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ 」予告編


●期間

2017年11月11日(土)〜12月1日(金)

●会場

シアター・イメージフォーラム
〒150-0002東京都渋谷区渋谷2-10-2
TEL.03-5766-0114

●料金

前売 1回券1300円、3回券3000円(1名様・A~Iプロから選択) 
当日 一般1500円/大学・専門学校生・シニア1200円/高校生・会員1100円
※前売り1回券と3回券はシアター・イメージフォーラムとユジク阿佐ヶ谷で11/10まで販売します。
※3回券を購入の方に特製ミニポスターをプレゼント!(数量限定)

●入場方法

自由席・完全入替制/整理券制 ※その日の初回の映画の開始時間の30分前より、その日の全ての回の整理券を当日券、前売券の種別なく受付順に発行いたします。
※お伝えする開場時刻までにお戻りください。整理券番号順にご案内いたします。(遅れてお戻りになった場合、番号が無効になります。ご注意ください)
*満席の場合はご入場出来ない場合もございますのでご注意ください。


「チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ」映画祭公式サイト
https://cs2017.jimdo.com/


関連映画祭
「生誕100年 ブルデチュカ映画祭」特設サイト
https://yujiku.wordpress.com/brdecka_2017/


ブルデチュカ映画祭・予告1


ブルデチュカ映画祭・予告2




各界からのコメント

『ひなぎく』へのコメント



小泉今日子(女優)

20年くらい前に、パリのfnacで見つけた「Daisies」のDVD。どこの映画か、なんの映画か、さっぱりわからなかったけれど、パッケージのデザインがポップでキュートで一目で気に入り、いわゆるジャケ買いをした。映画はお洒落で斬新で大好きな世界観。「すごい映画を見つけたよ!」と友達に貸しまくったことを覚えている。その数年後『ひなぎく』という邦題で日本のDVDショップにも並んだ。もちろん日本版も購入し何度も何度も見た映画。その頃、テレビの旅番組の企画があり、どこに行きたいかと聞かれた私は迷わず「チェコ!」と大きな声で答えた。企画は実現し、マリエみたいな1960年代風ファッションでチェコの街を私は歩いた。ヒティロヴァー監督がどんな気持ちであの映画を作ったのかを考えながら、侵略され続けた歴史を持つチェコの街を私は歩いた。『ひなぎく』が女の子達に勇気や元気を与えてくれる理由が少しわかった気がした。いつの世も女の子達は心の中で小さな反乱を起こす。そして颯爽と、悪戯に、スカートを揺らして街を歩くのだ! 1966年に製作された『ひなぎく』と私は同じ年。51歳になった私はもう女の子ではないけれど、今を生きる女の子達にも勇気と元気と反乱を胸に、颯爽と世の中を闊歩して欲しいと願っています。


岡崎京子(マンガ家)※1995年のコメント

2人の女の子。2人はこの世の無用の長物で余計ものである。そのことを2人は良く分かっている。役に立たない無力な少女達。だからこそ彼女達は笑う。おしゃれする、お化粧する、男達をだます、走る、ダンスする。遊ぶことだけが彼女達にできること。愉快なばか騒ぎと絶対に本当のことを言わないこと。それが彼女達の戦闘手段。やつらを「ぎゃふん」と言わせるための。死ネ死ネ死ネ死ネ!分かってるよ。私達だって「生きて」いるのよ。


矢川澄子(詩人)※2000年のコメント

"ひなぎく"のあたらしさ「美のためには食を拒んで死ぬことさえできる、おそるべき精神主義者たち」と、かつてわたしはある少女論にかこつけて書いた。少女にとって、この世にこわい権威は何もない。体制側のヤボなオジさんたちとは、はじめから完全にちがう倫理の下で生きているのだから。そう思いつつ二人のハチャメチャぶりを見ていると、最初と途中に出てくる「鉄」のイメージや終わり方がいかにも象徴的に思えてきた。それにしても六〇年代のさなか、こんな皮肉な映画がカーテンの向こう側で生まれていたとは。チェコの映画人のしたたかさに、あらためて脱帽させられる。


野宮真貴(ミュージシャン)※2000年のコメント

この映画のふたりの女の子は何だか涙が出るほど自由に生きている。可愛い服を着て、おいしいものをご馳走してもらって、ダンスをして、いつも笑って...。「ひなぎく」ほど悲しいくらい美しい映画は他にはないと思う。


鴻上尚史(劇作家・演出家)※2000年のコメント

彼女達は、無敵である。若く、美しく、スタイルがよく、センスがいい二人の女性に誰が勝つことができよう。だが、無敵である一番の理由は、彼女二人を、誰も理解していないことである。無敵であることの、なんと華やかなことか。そして、なんと淋しいことか。


ヴィヴィアン佐藤(美術家/ドラァグクイーン)※2000年のコメント

岡崎京子、ピチカート・ファイヴなど90年代日本の渋谷系ポップカルチャーの源流がどうして60年代のチェコにあるのかしら??? このいままで当たり前で不可思議だったことが、ようやく理解出来る時代になってきたのかもしれないわね。戦争や経済とかマッチョの裏側に湧き出る「カワイイ」の源流を遡行するピクニックに、そろそろ出発いたしましょうか。


まつゆう*(クリエイター/ブロガー)※2014年のコメント

可愛いと思わないところが見つけられない!レトロでロリータキュートな女の子の鉄板ムービー。


真魚八重子(映画評論家)※2014年のコメント

映画も、時代とともにテーマや演出が古びることはある。しかし『ひなぎく』だけはいつ見ても変わらぬ美貌で、いたずらっ子なまま存在し続ける映画だ。いま十代のお嬢さんたちには、是非本作に出会って斬新さに見とれてほしい。そして昔10代だった人たちも、この映画がいまだ乙女の瑞々しい可愛らしさを、傲慢なほど放っていることを妬んでほしい。永遠に散ることを知らぬ、アヴァンギャルドなひなぎくの花!


『パーティーと招待客』へのコメント



周防正行(映画監督)

とりあえず歴史的、政治的に読み解くことを禁じてみよう。映っているのは「空気」だ。「空気」の映っている映画は面白い。ただし、見た者に問われるのは、その「空気」をどう吸って、どう吐くかだ。今という時代に。


松尾貴史(俳優)

冒頭ののどかなムードからは、20年もの長い間、国家によって鑑賞することを禁じられていた理由がわかりませんでした。知らず知らずの内、権力に迎合していくさまは恐怖ですが、この異国の作品の画面よりも私たちの住むこの国の方が深刻かもしれません。この作品は、50年も前にその事を示唆してくれていたのです。


中条省平(学習院大学フランス語圏文化学科教授)

『パーティと招待客』は、東欧現代史の文脈のなかでは、チェコ共産党による全体主義支配への批判の映画といえるだろう。しかし、ここには、ルドルフ2世からカフカやチャペックに至る、奇想を愛するプラハ文化の血が脈々と流れている。単なる政治的風刺を超えて、人間存在の耐えがたい軽薄さ、集団ヒステリーの秘かな魅力を、嘲りつつも、楽しもうという強靭な想像力が働いている。さらに、この映画はシュルレアリスム的な悪夢の誘惑にもどっぷりと浸りながら、カフカとブニュエルの婚姻というべき境地に達している。この、底意地が悪く、ふざけのめした、しかし、この上なく魅力的な小傑作が、半世紀の歳月をものともせず、亡霊のように復活したことを心の底から祝福したい。


『愛の殉教者たち』へのコメント



岡田利規(演劇作家/小説家/チェルフィッチュ主宰)

現実と妄想の区別がつかない。そのことが、だんだんどうでもよくなっていく。 自由を謳歌するように撮られ編集されたこの映画に、満たされなさの感覚が溢れてるのが、生々しい。絶望を前提にした生の、剥き出し感のゆえ? 時代も地域も超えて、基本的フィーリングがわたしたちと共振を起こす。


門間雄介(編集者/ライター)

古く窮屈な価値観と新しい自由な価値観の狭間で、恋愛遊戯をくり広げる3人の若者たち。ハットにステッキの正装で、男が指をくわえて眺めるのは、いち早く抑圧から逃れた女たちと、ジャズが渦巻く時代の息吹か。サイレント映画のようなルックに、ヌーヴェルヴァーグのみずみずしさが零れる。




【映画祭公式映画本】

1950年代の政治的な抑圧がやわらぎ、自由化の大きな波が訪れた1960年代。この時代、新世代の監督が多数輩出され、彼らは互いに協力し合うことで豊かな創作環境を築きあげ、そこから生まれた作品は国際的に高く評価された。この「黄金の60年代」に生まれた映画たち――「チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ」。
国際的に高く評価されながらもわが国ではなかなか注目されることのなかった、「チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ」と総称される傑作・秀作の数々を紹介、また、ヤン・ニェメツ、ヴェラ・ヒティロヴァー、ヤロミル・イレシュ、イジー・メンツェル、ミロシュ・フォルマン、ユライ・ヘルツなどへのインタヴューや、「検閲システム」、「国立大学映画学部が果たした役割」など当時のチェコ映画界を知るための貴重な情報も満載した、「チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ」映画祭公式本。



『チェコスロヴァキア・ヌーヴェルヴァーグ』

定価 1,944円(本体価格1,800円)


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