ハチガツノホン
8月の本
発売日 2025/06/20
判型 B6変型判 ISBN 978-4-336-07741-7
ページ数 288 頁 Cコード 0090
定価 3,080円 (本体価格2,800円)
時代も場所もまったく異なる文学作品たちをつなぐテーマは〈12か月〉――
12か月のうちの〈8月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。
四季をあじわい、あの作品といま同じ季節を生きるよろこびをつくる本。シリーズ全12巻。
装丁:岡本洋平(岡本デザイン室)
西崎憲 (ニシザキケン)
翻訳家、作家、アンソロジスト。訳書にコッパード『郵便局と蛇』、『ヘミングウェイ短篇集』、『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』など。著書に第十四回ファンタジーノベル大賞受賞作『世界の果ての庭』、『蕃東国年代記』『未知の鳥類がやってくるまで』『全ロック史』『本の幽霊』など。フラワーしげる名義で歌集『ビットとデシベル』『世界学校』。電子書籍や音楽のレーベル〈惑星と口笛〉主宰。音楽家でもある。
堀辰雄 (ホリタツオ)
小説家。一九〇四年生。小説に「聖家族」「風立ちぬ」「美しい村」など。一九五三年没。
北原白秋 (キタハラハクシュウ)
詩人、歌人。一八八五年生。詩集に「邪宗門」、歌集に「桐の花」など。一九四二年没。
山川方夫 (ヤマカワマサオ)
小説家。一九三〇年生。小説に「演技の果て」「夏の葬列」など。戦後の青春と死の不条理を都会的な作風で描き、小説「お守り」の翻訳が「LIFE」に掲載されるなど国際的な活躍が期待される中、一九六五年に交通事故で死去。享年三六(満三四歳)。
須賀敦子 (スガアツコ)
随筆家、伊文学者、翻訳家。一九二九年生。夫ジュゼッペ・ペッピーノ・リッカとともに日伊の翻訳に取り組むが死別。随筆に「ミラノ 霧の風景」、訳書にタブッキ「インド夜想曲」など。一九九八年没。
茨木のり子 (イバラギノリコ)
詩人、エッセイスト、童話作家、脚本家。一九二六年生。同人誌「櫂」を創刊し、谷川俊太郎、吉野弘、大岡信らが参加した。詩集に「自分の感受性くらい」「倚りかからず」など。二〇〇六年没。
井上靖 (イノウエヤスシ)
小説家、詩人。一九〇七年生。新聞記者を経て作家となる。小説に芥川賞受賞作「闘牛」、「わが母の記」、詩集に「北國」など。一九九一年没。
唐十郎 (カラジュウロウ)
劇作家・演出家・俳優・小説家。1940年東京生まれ。明大文学部演劇学科卒。62年劇団状況劇場を結成。67年に新宿花園神社境内に紅テントを立てて上演し、以後、唐の存在は60年代に開始されたアングラ・小劇場演劇を牽引する旗手となった。69年に『少女仮面』で第15回岸田国士戯曲賞を受賞。70年代に入ると、『二都物語』(72)、『ベンガルの虎』(73)、『唐版・風の又三郎』(74)で冒険行は極限に達した。88年に状況劇場を解散、唐組を結成。2000年代に入って、『泥人魚』(03)で鶴屋南北賞、読売文学賞を、他に読売演劇大賞芸術栄誉賞、朝日賞などを受賞している。唐は横浜国立大学(1997~2005年)、近畿大学(2005~10年)でも教授を勤め、後続の若い世代にも強烈な影響を及ぼした。
ブルーノ・シュルツ (ブルーノ・シュルツ)
一八九二年生。ポーランドの作家、画家。小説に「肉桂色の店」「砂時計サナトリウム」など。一九四二年没。
工藤幸雄 (クドウユキオ)
1925年~2008年。東京大学仏文学科卒業。多摩美術大学教授を務めた。著書に、『ぼくの翻訳人生』(中公新書)、『不良少年』(思潮社)、訳書にポトツキ『サラゴサ手稿』(国書刊行会)、『シュルツ全集』(新潮社)などがある。
絵はがき(堀辰雄)
影(北原白秋)
お盆(石井桃子)
ジャンの新盆(山川方夫)
美しく、短かすぎる夏(吉田健一)
紙の玉(シャーウッド・アンダースン/上岡伸雄訳)
霧のむこうに住みたい(須賀敦子)
いちど視たもの 一九五五年八月十五日のために(茨木のり子)
八月三日の夢(中谷宇吉郎)
鏡の中の月(宮本百合子)
トカトントン(太宰治)
山居(萩原朔太郎)
白雪姫(久生十蘭)
八月の星座(吉田絃二郎)
驟雨(井上靖)
初恋(尾崎翠)
ネムロド(ブルーノ・シュルツ/工藤幸雄訳)
簔虫〔「小さな出来事」より〕(寺田寅彦)
穴(岡本綺堂)
蟲の声(永井荷風)
雨のふくらはぎ(唐十郎)
跋 八月の王国 西崎憲