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アラブンジンノセカイカンーーゲキヘンスルチュウトウヲヨミトク

アラブ人の世界観──激変する中東を読み解く

水谷周

発売日 2017/05/18

判型 四六判   ISBN 978-4-336-06152-2

ページ数 266 頁   Cコード 0031

定価 2,420円 (本体価格2,200円)

内容紹介

現在、世界で最も不安定な地域は、中東である。日々不安感にさいなまれつつある人々の脳裏を巡るものは、何なのか。彼らの世界観を把握することは、激変する中東地域、中でもその大半を占めるアラブ人を理解することと表裏一体といえよう。
この課題に応えるべく本書はまとめられた。全体の要旨は、以下のようになる。
宇宙観や人生観においては、科学や情報の波にもまれながらもイスラーム信仰によって導かれる内容と大きくはぶれていない。しかし政治、経済面では、現実世界の諸事情が迫る中、伝統的な信条や制度の規範力だけで持ちこたえるのが難しい段階に入りつつある。改革や刷新の尽力が払われており、経済面では一歩具体的に進展したが、政治面では結実するのに時間を要している。また文明復興の願望は強いが道遠く、まして将来像として、かつてのイスラーム帝国の大版図の復活は、夢遥かということである。しかしその夢は朽ち果ててはいないので、無視できない。
さらにこれを詰めれば、次のようになる。中東の行動規範の根底にあるものは、コーランの第1章に宣言され、また全巻を通じてもしきりに繰り返される、まっすぐな道を歩みたいという願望である。この正道希求の心情が中東・アラブの思想の支柱であり、最強の底流としてあるといえよう。
報道を見るとすさんだ景色と、凄惨な出来事の連続のように中東は映るであろう。もちろんそれは現実であるとしても、人々とその社会の基層には以上のような大きな潮流が、姿を変えずに存在することが確認できる。

著者紹介

水谷周 (ミズタニマコト)

京都大学文学部卒、博士(イスラーム思想史)、(社)日本宗教信仰復興会議代表理事、日本ムスリム協会理事、国際宗教研究所顧問など。日本における宗教的覚醒とイスラームの深みと広さの啓発に努める。
著書多数:『イスラーム信仰概論』明石書店、2016年、『イスラームの善と悪』平凡社新書、2012年、『イスラーム信仰とその基礎概念』晃洋書房、2015年、『イスラーム信仰とアッラー』知泉書館、2010年。(以下は国書刊行会)『イスラーム信仰叢書』全10巻、総編集・著作、2010~12年、『クルアーン―やさしい和訳』監訳著、2019年、『黄金期イスラームの徒然草』2019年、『現代イスラームの徒然草』2020年、『イスラーム用語の新研究』2021年、『祈りは人の半分』鎌田東二共著、2021年、『信仰の滴』2022年、『信仰は訴える』2023年、『宗教と科学のせめぎ合い』2023年など。

目次

第1章 宇宙観
第2章 人生観
第3章 政治観
第4章 経済観
第5章 文明観
第6章 未来観
終 章 ダマスカスの昔と今
追記 トランプの中東政策

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