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クロコディル

クロコディル

一八世紀パリを襲った鰐の怪物  

発売日 2013/03/25

判型 四六判   ISBN 978-4-336-05640-5

ページ数 362 頁   Cコード 0097

定価 4,950円 (本体価格4,500円)

内容紹介

フランス革命前夜、ルイ15世治世下のパリ。不吉な天文現象がパリに災いが起きることを予告するなか、飢饉の波が押し寄せ、財務総監の無策に怒った民衆による反乱が勃発する。その時、突如巨大な鰐の姿をした怪物が姿を現し、瞬時のうちに反乱軍と正規軍を呑み込んでしまう。暴徒を操る怪物に対し、異能の持ち主エレアザールは、超自然的存在の助けを借り、超能力を駆使して、怪物と配下の精霊に戦いを挑む。怪物の正体とは? 怪物の目的とは? 魔術、笑劇、SF的発想をふんだんにちりばめながら、世界中の海、陸、地下、天上、そして古代ギリシアへのタイムトラベルまで、時空を超越する物語によって西洋近代批判を展開した、18世紀フランス最大の神秘思想家による奇書中の奇書。

著者紹介

ルイ=クロード・ド・サン=マルタン (ルイクロードドサンマルタン)

今野喜和人 (コンノキワヒト)

1954年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、静岡大学名誉教授。専攻、比較文学比較文化。
著書に、『啓蒙の世紀の神秘思想――サン=マルタンとその時代』(東京大学出版会、2006)、訳書に、[ルイ=クロード・ド・サン=マルタン]『クロコディル――一八世紀パリを襲った鰐の怪物』(国書刊行会、2013)、イーヴリン・アンダーヒル『神秘主義』(ナチュラルスピリット、2016、共訳)、オズヴァルド・ヴィルト『中世絵師たちのタロット』(国書刊行会、2019)、ジャン゠クリストフ・リュファン『永遠なるカミーノ』(春風社、2020)、他多数。

目次

第一篇 天体に現れた恐るべき徴 学者たちの落ち着き 民衆の警戒
第二篇 ホーン岬沖の報告
第三篇 ホーン岬沖の報告(続き) 議長演説
第四篇 ホーン岬沖の報告(続き) 海底の精の意見
第五篇 ホーン岬沖の報告(続き) 月の精の意見
第六篇 ホーン岬沖の報告(続き) エチオピアの精の意見
第七篇 ホーン岬沖の報告(続き) テネリフェ山の精の意見
第八篇 ホーン岬沖の報告(続き) 精霊たちの術策
第九篇 パリの住民の不安
第一〇篇 ラシェルとロゾンの出会い
第一一篇 ロゾンの物語
第一二篇 義勇兵ウルデックの出会い
第一三篇 警察長官の警戒 ウルデックとジョフ夫人の出会い
第一四篇 ジョフ夫人の物語
第一五篇 独立者の会におけるジョフ夫人の演説
第一六篇 独立者の会の持つ力 雄弁術教授の物語
第一七篇 竜騎兵隊長の物語
第一八篇 幾人かの住民たちの希望 アカデミー会員の物語
第一九篇 密使スティレとユダヤ系スペイン人エレアザールとの会見
第二〇篇 スティレとラシェルが暴徒の行進を見る
第二一篇 反乱に対してセディールが取った予防策
第二二篇 エレアザール、セディールのもとに赴く 二重パンジーの粉
第二三篇 エレアザールとセディールの会見 エレアザールの教説
第二四篇 エレアザールがセディールに向かって国家の敵を明らかにする
第二五篇 セディールが密偵たちから悪しき報せを受け取る
第二六篇 ロゾンの大胆不敵さ その武具 その逃走
第二七篇 暴徒はサブロンの野に向かう 正規軍の猛攻撃に遭う
第二八篇 思いがけぬ奇跡 アカデミー会員たちがこの奇跡を調査する
第二九篇 アカデミーの委員たちの決定 彼らの驚き
第三〇篇 クロコディルの学術講義 万物の起源
第三一篇 クロコディルの学術講義(続き) 宇宙の展開
第三二篇 クロコディルの学術講義(続き) 個々の存在の形成 ピラミッド
第三三篇 クロコディルの学術講義(続き) 諸々の学問の代表
第三四篇 クロコディルの学術講義(続き) 人類の置かれた状態
第三五篇 クロコディルの学術講義(続き) 人類史
第三六篇 クロコディルの大胆な計画が打ち倒される
第三七篇 パリ住民の驚愕 アカデミーの決定
第三八篇 書物の災い
第三九篇 書物の災いの結果
第四〇篇 我が詩神への祈り
第四一篇 アカデミーにおける学術委員会の報告
第四二篇 アカデミーでも饗応された書物の粥
第四三篇 細かい埃に悩まされるアカデミー会員たち
第四四篇 アカデミー会員は救われる ただし一つの条件の下に
第四五篇 財務総監に対する民衆の怒り
第四六篇 クロコディルに対抗するセディールとエレアザールの会合
第四七篇 セディールが蝋燭の炎の中に見たもの
第四八篇 セディールが〈のっぽの痩せ男〉の話を書き留める
第四九篇 速記者についての説明 のっぽの痩せ男の話の続き
第五〇篇 戦士の服を着た精霊がセディールに見える その他のいくつかの奇跡も
第五一篇 エレアザールに対する戦士の策動
第五二篇 現れなかったクロコディル
第五三篇 モンマルトル通りの下水から、旅人の予期せぬ登場
第五四篇 義勇兵ウルデックの物語
第五五篇 ウルデックの物語(続き) 両軍がクロコディルの体内深くに入る
第五六篇 ウルデックの物語(続き) 韃靼人の女
第五七篇 ウルデックの物語(続き) 韃靼人の女の打ち明け話
第五八篇 ウルデックの物語(続き) 照応の場面
第五九篇 ウルデックの物語(続き)クロコディルの内奥部で生じる振動
第六〇篇 エレアザールによって与えられた束の間の食糧
第六一篇 超自然の出来事 深淵から両軍が脱出
第六二篇 パリ市民の見えざる敵たちに対するエレアザールの果敢な抵抗
第六三篇 〈プシコグラフ〉の説明
第六四篇 アタランテの街の描写
第六五篇 アタランテの描写(続き) 保存された言葉
第六六篇 アタランテの描写(続き) 総督と何人かの悪人たち
第六七篇 アタランテの描写(続き) 哲学者
第六八篇 アタランテの描写(続き) 瀕死の医師
第六九篇 アタランテの描写(続き) 学術協会
第七一篇 アタランテの描写(続き) 沈黙の講座
第七二篇 アタランテの描写(続き) 寺院の中の説教者
第七三篇 アタランテの描写(続き) 言葉の二つの流れ
第七四篇 アタランテの描写(続き) 秘儀祭司の住居
第七五篇 アタランテの描写(続き) 秘儀祭司の悲劇的最期
第七六篇 首都とエレアザールを標的とする攻撃の準備
第七七篇 空飛ぶ精霊の集合 その内の三名が兵士に変身
第七八篇 倒されたエレアザールが立ち上がる
第七九篇 空飛ぶ敵たちの評議と決定
第八〇篇 災いの頂点
第八一篇 エレアザールの勝利
第八二篇 エレアザールが別の作業に赴く
第八三篇 セディールに対するエレアザールの教え
第八四篇 暴風によってセディールがエレアザールから引き離される
第八五篇 観察
第八六篇 見知らぬ人の垂訓 両軍の帰還を予告
第八七篇 見知らぬ人の垂訓(続き) 諸天体
第八八篇 見知らぬ人の垂訓(続き) 照応
第八九篇 見知らぬ人の垂訓(続き) 対立
第九〇篇 見知らぬ人の垂訓(続き) 衝撃 両軍の帰還
第九一篇 見知らぬ人の垂訓(続き) 両軍が天体の間に留まった効果
第九二篇 セディールがエレアザールの傍らに戻る エレアザールの力が与える効果
第九三篇 思いがけぬしるしにセディールは喜びで満たされる
第九四篇 両軍が空中に現れる
第九五篇 クロコディルが自軍を戦闘隊形にする
第九六篇 クロコディルの変身
第九七篇 クロコディルの痙攣
第九八篇 クロコディルの途方もない吐出
第九九篇 クロコディルの処罰
第一〇〇篇 勝利の果実
第一〇一篇 ウルデックの渇望が叶えられる
第一〇二篇 三人の悪人の断罪 減刑
[補遺]第七〇篇 アタランテの描写(続き) 「観念の形成に及ぼす記号の影響とは何か」という学士院の問いに対する〈プシコグラフ〉の一時的回答
解題

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