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ヨクボウノウラドオリ

欲望の裏通り

発売日 2012/02/20

判型 菊判   ISBN 978-4-336-05378-7

ページ数 480 頁   Cコード 0097

定価 5,280円 (本体価格4,800円)

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内容紹介

日本翻訳出版文化賞受賞作。
アラブ圏初のノーベル文学賞作家マフフーズの代表作『カイロ三部作』初完訳版の第2部。
一家3代にわたる壮大な大河小説。舞台は1924年から27年まで。エジプトは1922年に条件付きで独立。24年の選挙で愛国的なワフド党が大勝し、指導者ザグルールが首相になる。しかしスーダンの統治問題などで英国との関係が緊張、その圧力でザグルールは失脚。
アフマドは初老となり、若いザンヌーバを愛人として囲う。男盛りのヤーシーンは、弟ファフミーの恋人であったマルヤムと再婚したものの、ザンヌーバとの浮気が原因で離婚。のちにザンヌーバを妻に迎える。三男カマールは理想を追う青年に成長。親友の姉アーイダにプラトニックな熱愛を捧げる。彼女はカマールの友人と結婚。失意のカマールは小学校の教師となり、酒と女にふける。
ザグルールの訃報の夜、アフマド家の次女アーイシャの夫と息子二人がチフスで亡くなる。ザンヌーバがヤーシーンとの子をひっそりと出産しようとしている。

著者紹介

ナギーブ・マフフーズ

ナギーブ・マフフーズ(1911年12月11日―2006年8月30日)
マフフーズはエジプトの文豪、1988年にアラブ人の作家として初めてノーベル文学賞の栄冠に輝く。カイロ旧市街に下級官吏の末子として生まれ、長じてカイロ大学哲学科に入学、卒業後官吏と作家の二足の草鞋を履いたが、定年後文学活動に専念し、94歳の高齢で世を去るまで、35冊の長編、19冊の短編集などを発表。その中で特に彼の文名を高めたのが、56、57年に発表された大河小説『カイロ三部作』で、一連の社会的リアリズム小説を完成させた大作。その後の時代では、人間と宗教の関係を取り上げた『わが町内の子供たち』(1959年に新聞連載)、宗教と悪徳の問題に焦点を置いた『選民の詩』(1977年刊)が力作で、ともに寓意的、象徴的筆致で書かれており、また『三部作』に次ぐ大河小説。これらに加え、マフフーズは多くの野心作を次々と発表し、多岐にわたる傾向、スタイル、更に技法を大胆に発展させた。晩年になってからも 創造力は旺盛で、たとえばアラビアン・ナイトの後日談の形を取った『千夜の夜々(邦訳名シェヘラザードの憂愁)』が82年に刊行。彼は開明的作家で、西洋哲学を研究し、欧米文学を読み、社会主義にも共感を示したが、『わが町内の子供たち』の発表以来彼に反発していたイスラム過激派の分子により、94年襲撃されて負傷。短編の分野でも斬新な作品を多数創作し、最晩年になってからは夢想的な掌編を次々と発表。

塙治夫 (ハナワハルオ)

塙 治夫(はなわ はるお、1931年 - )は、外務省外交官を長く努め、現在はアラブ文学翻訳家。

茨城県生まれ。1952年外務省に勤務し、カイロでアラビアを学び、外交官としてアラブ諸国に赴任した。外交官時代にエジプトのノーベル文学賞作家ナギーブ・マフフーズ氏と知り合い、日本での翻訳を託された。退官後はアラブ文学を広めるため翻訳家として活動し、現在に至る。
 マフフーズ作品の主な訳本は、短編「狂気の独白」、長編「バイナル・カスライン」、短編「ナギーブ・マフフーズ短編集」、長編「シェヘラザードの憂愁」、長編「泥棒と犬」
他に、「アブー・ヌワース飲酒詩選」
マフフーズとは1970年代に3回会った外、1989年にも会ってノーベル文学賞を授与されたことに祝意を述べた。

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