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「図書新聞」に『地球の平和』(スタニスワフ・レム)書評掲載
2022/04/15 パブリシティ
「図書新聞」3537号(4月2日付)に『地球の平和』(スタニスワフ・レム・コレクション)の書評掲載。評者は大野万紀さん(SF翻訳家・評論家)です。
「しかしああ何ということか! この原稿を書いている今、プーチンの蛮行により、レムの生まれ故郷、現在はウクライナ領のリヴィウにもロシア軍が侵攻している。現実の世界情勢や政治については常に慎重な態度を示したレムだが、もし生きていたら果たしてどう思ったことか。想像するだけでも辛い。心から祈ろう。地には平和をと」
『地球の平和』(スタニスワフ・レム/芝田文乃 訳/沼野充義 解説)
自動機械の自立性向上に特化された近未来の軍事的進歩は、効果的かつ高価になり、その状況を解決する方法として人類は軍備をそっくり月へ移すことを考案、地球非軍事化と月軍事化の計画が承認される。こうして軍拡競争をAI任せにした人類であったが、立入禁止ゾーンとなった月面で兵器の進化がその後どうなっているのか皆目わからない。月の無人軍が地球を攻撃するのでは? 恐怖と混乱に駆られパニックに陥った人類の声を受けて月に送られた偵察機は、月面に潜ってしまったかのように、一台も帰還することがなかったばかりか、何の連絡も映像も送ってこなかった。かくて泰平ヨンに白羽の矢が立ち、月に向けて極秘の偵察に赴くが、例によってとんでもないトラブルに巻き込まれる羽目に......《事の発端から話した方がいいだろう。その発端がどうだったか私は知らない、というのは別の話。なぜなら私は主に右大脳半球で記憶しなくてはならなかったのに、右半球への通路が遮断されていて、考えることができないからだ》レムの最後から二番目の小説にして、〈泰平ヨン〉シリーズ最終話の待望の邦訳。