書籍詳細

内容紹介
時代も場所もまったく異なる文学作品たちをつなぐテーマは〈12か月〉――
12か月のうちの〈9月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。
四季をあじわい、あの作品といま同じ季節を生きるよろこびをつくる本。シリーズ全12巻。
装丁:岡本洋平(岡本デザイン室)
著者紹介
西崎憲 (ニシザキケン)
翻訳家、作家、アンソロジスト。訳書にコッパード『郵便局と蛇』、『ヘミングウェイ短篇集』、『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』など。著書に第十四回ファンタジーノベル大賞受賞作『世界の果ての庭』、『蕃東国年代記』『未知の鳥類がやってくるまで』『全ロック史』『本の幽霊』など。フラワーしげる名義で歌集『ビットとデシベル』『世界学校』。電子書籍や音楽のレーベル〈惑星と口笛〉主宰。音楽家でもある。
鈴木三重吉 (スズキミエキチ)
小説家、児童文学者。一八八二年生。夏目漱石門下。児童文学雑誌「赤い鳥」を創刊し児童文化運動の父とされる。小説に「千鳥」「桑の実」など。一九三六年没。
蒲松齢 (ホショウレイ)
中国清代の文人。一六四〇年生。科挙に落第し続け立身出世は果たせなかったが、志怪小説「聊斎志異」によって文名を残した。同書の流布本は全一六巻四四五篇から成る。一七一五年没。
小沼丹 (オヌマタン)
小説家、随筆家、英文学者。一九一八年生。早稲田大学在学中に井伏鱒二に師事し、高校教員を経て早稲田大学英文科教授となる。小説に「村のエトランジェ」「白孔雀のいるホテル」、随筆集に「小さな手袋」「珈琲挽き」、翻訳にスティーヴンソン「旅は驢馬をつれて」など。一九九六年没。
北野勇作 (キタノユウサク)
小説家。一九六二年生。小説に「かめくん」「昔、火星のあった場所」「かめたいむ」など。
木下杢太郎 (キノシタモクタロウ)
詩人、劇作家。一八八五年生。医学者として教壇に立つかたわら、文学や美術など幅広い分野で活躍した。詩集に「食後の唄」、戯曲に「南蛮寺門前」、小説集に「唐草表紙」など。一九四五年没。
有島武郎 (アリシマタケオ)
小説家。一八七八年生。小説に「或る女」「カインの末裔」、評論に「惜みなく愛は奪う」など。一九二三年没。
島崎藤村 (シマザキトウソン)
詩人、小説家。一八七二年生。詩集に「若菜集」、小説に「破戒」「夜明け前」など。一九四三年没。
リッキー・デュコーネイ (リッキー・デュコーネイ)
アメリカの作家。一九四三年生。小説に「まじない」「狐」など。
岸本佐知子 (キシモトサチコ)
翻訳家。翻訳にベルリン「掃除婦のための手引き書」、デイヴィス「話の終わり」、ミルハウザー「エドウィン・マルハウス」など。「ねにもつタイプ」で第23回講談社エッセイ賞受賞。
目次
九月のひと(幸田文)
分身(リッキー・デュコーネイ/岸本佐知子訳)
月夜(鈴木三重吉)
鬼作筵〔「聊斎志異」より〕(蒲松齢/柴田天馬訳)
登高(小沼丹)
屋上(北野勇作)
猫町 散文詩風な小説(萩原朔太郎)
尼〔「陰火」より〕(太宰治)
溶ける魚 17(アンドレ・ブルトン/巖谷國士訳)
二人は歩いた(西脇順三郎)
市街を散歩する人の心持(木下杢太郎)
菊あわせ(泉鏡花)
溺れかけた兄妹(有島武郎)
麻畑の一夜(岡本綺堂)
天災と国防(寺田寅彦)
食堂(島崎藤村)
九月の果樹園(マチュー・ド・ノアイユ伯爵夫人/永井荷風訳)
九月は(茨木のり子)
恋のカメレオン(アンリ・トロワイヤ/澁澤龍彦訳)
跋 九月の水(西崎憲)