書籍詳細
内容紹介
大戦時の爆撃で崩れかけた墓所に葬られていたのは、半世紀前に妻と四人の子供を手にかけた殺人者だという。サー・レジナルドは嫌悪を感じつつもその場所に惹かれていく……「ジャスパー・サラセンの納体堂」。クリスマス・ツリーに用意されたモミの木は、手を付けてはならない禁忌の土地から運ばれたものだった。その日から屋敷では異変が相次ぎ、クリスマスの夜、ついに悲劇が……「幸運の木立」。ゴルフ場の新たに改修されたホールで続発する怪死事件。そこはかつて〈血の林〉と呼ばれる危険な場所だった……「ダンカスターの十七番ホール」。
さらに棺の割れ目から這いだす長い毛の悪夢や、村の古老が語るクリケットの試合をめぐる幽霊譚、地獄の業火に悶えながら死んでいく男たちなど、多彩な題材と巧みな語り口による怪異描写でM・R・ジェイムズ以来の伝統を継ぎ、現代性も加味して英国怪奇小説黄金時代の最後を飾った恐怖の名匠H・R・ウェイクフィールドの傑作集。動物愛護をテーマにした珍しい怪談や、犯罪小説的な要素をからめた後期の意欲作まで全14篇。本邦初訳多数。
装幀:山田英春
著者紹介
H・R・ウェイクフィールド (H・R・ウェイクフィールド)
イギリスの作家。1888年、ケント州で生まれる。オックスフォード大学を卒業後、新聞王ノースクリフ卿の個人秘書を務め、第一次大戦後は出版社ウィリアム・コリンズ・サンズで編集長として働きながら創作活動に入る(30年退社)。1928年、怪奇短篇集They Return at Evening を上梓し、好評を博した。以後、Old Man’s Beard (1929)、Imagine a Man in a Box (1931)、The Clock Strikes Twelve (1940) 等の短篇集を刊行、ゴースト・ストーリー黄金時代の伝統を継ぎつつ、現代性も備えた恐怖短篇を書き続け、「M・R・ジェイムズの後継者」と評される。犯罪実話や探偵小説の著作もある。1961年、最後の短篇集Strayers from Sheol をアメリカの怪奇小説専門出版社アーカム・ハウスから刊行。1964年死去。邦訳短篇集に『赤い館』(国書刊行会)、『ゴースト・ハント』(創元推理文庫)がある。
渦巻栗 (ウズマキクリ)
翻訳家。主な翻訳に、アルジャーノン・ブラックウッド「木に愛された男」(『新編怪奇幻想の文学3 恐怖』新紀元社、所収)、「ジョーンズの狂気」(『幻想と怪奇15 霊魂の不滅』、新紀元社、所収)、H・R・ウェイクフィールド「めでたい結末?」(『幻想と怪奇17
幽霊のいる暮らし』新紀元社、所収)、ラムジー・キャンベル「フランクリンの章句」(『グラーキの黙示2』サウザンブックス、所収)など。
目次
ジャスパー・サラセンの納体堂
または数人の正体不明の人物
幸運の木立
時空のねじれ
老人のあごひげ
最期の贈りもの
クリケットにあらず
タークス・アンド・タルボット
第三の影
ダンカスターの十七番ホール
約束の業火
最後の退去者
護 衛
旧友との最後の再会
訳者解説