書籍詳細
内容紹介
時代も場所もまったく異なる文学作品たちをつなぐテーマは〈12か月〉――
12か月のうちの〈2月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。
四季をあじわい、あの作品といま同じ季節を生きるよろこびをつくる本。シリーズ全12巻。
装丁:岡本洋平(岡本デザイン室)
著者紹介
西崎憲 (ニシザキケン)
翻訳家、作家、アンソロジスト。訳書にコッパード『郵便局と蛇』、『ヘミングウェイ短篇集』、『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』など。著書に第十四回ファンタジーノベル大賞受賞作『世界の果ての庭』、『蕃東国年代記』『未知の鳥類がやってくるまで』『全ロック史』『本の幽霊』など。フラワーしげる名義で歌集『ビットとデシベル』『世界学校』。電子書籍や音楽のレーベル〈惑星と口笛〉主宰。音楽家でもある。
矢川澄子 (ヤガワスミコ)
小説家・詩人・翻訳家。一九三〇年生。小説に「兎とよばれた女」「失われた庭」、エッセイ集に「「父の娘」たち 森茉莉とアナイス・ニン」など。二〇〇二年没。
立原道造 (タチハラミチゾウ)
詩人。一九一四年生。東京帝国大学建築学科卒。堀辰雄、室生犀星に師事する。詩集に「萱草に寄す」「暁と夕の詩」「優しき歌」など。一九三九年没。享年二六(満二四歳)。
宇野浩二 (ウノコウジ)
小説家。一八九一年生。小説に「思い川」「相思草」など。一九六一年没。
菊池寛 (キクチカン)
小説家、劇作家。一八八八年生。雑誌「文藝春秋」を創刊し、芥川賞・直木賞を制定した。小説に「藤十郎の恋」「真珠夫人」、戯曲に「父帰る」など。一九四八年没。
森鷗外 (モリオウガイ)
小説家、翻訳家、評論家、軍医。一八六二年生。小説に「舞姫」「ヰタ・セクスアリス」「高瀬舟」など。一九二二年没。
小野二郎 (オノジロウ)
英文学者、編集者。一九二九年生。晶文社創立者、ウィリアム・モリス研究家としても知られる。著書に「ユートピアの論理」「ウィリアム・モリス ラディカル・デザインの思想」、訳書にモリス「世界のかなたの森」など。一九八二年没。
山本周五郎 (ヤマモトシュウゴロウ)
小説家。一九〇三年生。小説に「樅ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「さぶ」など。一九六七年没。
ヴァルター・ベンヤミン (ヴァルター・ベンヤミン)
ドイツの思想家、評論家。一八九二年生。著作に「複製技術時代の芸術」「写真小史」「パサージュ論」など。一九四〇年没。第二次世界大戦中にナチスから逃れて亡命する途上でのことだった。
丘沢静也 (オカザワシズヤ)
ドイツ文学者。一九四七年生。著書に「恋愛の授業」、翻訳にカフカ「城」ニーチェ「ツァラトゥストラ」ヴィトゲンシュタイン「哲学探究」など。
目次
立春開門(河井寛次郎)
雪の日 我孫子日誌(志賀直哉)
今日、いちにちの白(矢川澄子)
雪の上の足跡 高原の古駅における、二月の夕方の対話(堀辰雄)
詩篇(立原道造)
浅き春に寄せて
ひとり林に……
晴れたり君よ(宇野浩二)
出世(菊池寛)
女占師の前にて(坂口安吾)
南部(ホルヘ・ルイス・ボルヘス/西崎憲訳)
二月(村山槐多)
燈火節(片山廣子)
追儺(森鷗外)
私の特技(宇野千代)
二月の味(幸田文)
ビートン夫人の料理術(小野二郎)
ケラーからシュトルムへ(ヴァルター・ベンヤミン/丘沢静也訳)
今年の春外套(獅子文六)
ミス・ピンカートンの啓示(ミュリエル・スパーク/木村政則訳)
立春の卵(中谷宇吉郎)
お豆腐の針(沢村貞子)
山椿(山本周五郎)
跋 俊足の二月(西崎憲)

