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書籍詳細

シンパンキンダイスピリチュアリズムノレキシ

新版 近代スピリチュアリズムの歴史

心霊研究から超心理学へ

三浦清宏

発売日
2022/06/24
判型
A5判
ISBN
978-4-336-07354-9
ページ数
400頁

定価 3,300円(本体価格3,000円)

※在庫あり

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内容紹介

芥川賞作家にして心霊研究家の三浦清宏が繙く、
スピリチュアリズムの歴史の決定版!

コナン・ドイルがとりこになった!
ポルターガイスト、降霊会、エクトプラズム、心霊写真、念写……。
ハイズヴィル事件からはじまり英国ヴィクトリア期に黄金時代を迎え、アメリカの超心理学へ――驚異の霊媒と科学的分析の相克に、新たな可能性の扉が開く!

湯浅泰雄賞受賞作(2008年講談社刊)に、フォックス姉妹、D.D.ホーム、エヴァ・C、マージェリ―、ユーサピア・パラディーノ、ウィリアム・ホープら霊媒たちの、驚異の超常現象など図版140余点を増補。さらに貴重な英国物理霊媒コリン・フライの来日降霊会レポートを50頁以上併録する充実の新版!

「この本を書こうと思った第一の理由は、これから心霊について勉強しようと思う人に、今まで歴史的にどういうことがあったのか、またどういう研究が行われてきたのかを知っていただきたいと思ったからです。これは私自身の体験からですが、はじめて心霊のことを勉強しようと思ったときに、そういうことを教えてくれる日本語のいい参考書がまったくなかったので、手探りと試行錯誤でやらなければならなかったからです。……
これは19世紀の半ばに英国人を中心としてアメリカ人やヨーロッパの人たちが抱いた一つの夢と、その成り行きを書いたものです。科学の揺籃期にあったヴィクトリア朝の人でなければ考えつかないような、突拍子もない夢想を実現しようとした歴史上の物語です。それは英国以外のいろいろな地域に伝播しながら、まだ見果てぬ夢として今も続いています」(本書「まえがき」より)

著者紹介

三浦清宏 (ミウラキヨヒロ)

1930年北海道室蘭生まれ。小説家、心霊研究家。東京大学文学部英文学科を中退し渡米、アイオワ大学ポエトリー・ワークショップ修了。留学中に小島信夫の知遇を得る。1967-2001年明治大学工学部(英語)助教授・教授。1978年から1年間英国でスピリチュアリズムを研究。1988年『長男の出家』で芥川龍之介賞受賞。2006年『海洞』で日本文芸大賞受賞。1991-99年、2021年~日本心霊科学協会理事。
小説に『長男の出家』『ポエトリ・アメリカ』『カリフォルニアの歌』『摩天楼のインディアン』『海洞――アフンルパロの物語』、スピリチュアリズム関連に『イギリスの霧の中へ――心霊体験紀行』『幽霊にさわられて――禅・心霊・文学』『見えない世界と繫がる――我が天人感応』、エッセイに『文学修行――アメリカと私』『運命の謎――小島信夫と私』など。

目次

はじめに 

◎第一章 ハイズヴィル事件とその波紋 
 ハイズヴィル事件
 フォックス姉妹と「ロチェスターのノック音」
 スピリチュアリズムが生んだ最初の職業霊媒
 熱狂するアメリカ社会
 ハイズヴィル事件の注目すべき点
 現象はフォックス姉妹が起こしたのか?
 「伝染」していく叩音現象
 伝播の社会的背景

◎第二章 ハイズヴィルに至る道のり
 「予言者」アンドリュー・ジャクソン・デイヴィス
 驚くべきトランス・トーク
 『自然の原理――その聖なる啓示と人類への声』
 デイヴィスの描く霊界観
 「超自然ではない」
 エマヌエル・スウェーデンボルグ――最初のスピリチュアリスト
 生まれながらの霊的素質
 科学者スウェーデンボルグの葛藤
 照応の原理
 十九世紀文学者たちと神秘思想 
 霊界探訪者
 メスメリズム 
 「動物磁気」がもたらしたもの 

◎第三章 心霊研究の黄金時代 I――霊能者の活躍 
 英国での開幕――ハイデン夫人の渡英 
 パックス・ブリタニカ
 その頃の日本――「黒船」から日清戦争へ
 実験科学の発達と心霊研究
 唯物思想への警戒感
 「霊媒の王」D・D・ホーム
 広範囲におよんだホームの霊能力
 ホームの空中浮遊
 「スピリチュアリズムの歩く大広告塔」 
 潔癖な霊能力者の後半生 
 英国知識者層の反応①――ブラウニングの風刺詩 
 英国知識者層の反応②――冷淡なファラデイ 
 ロンドン・ダイアレクティカル・ソサイエティの調査 
 アルフレッド・ウォレス、スピリチュアリズム擁護 
 「心霊研究の立役者」ウィリアム・クルックス 
 クルックスとケイティ・キング 
 「何も撤回することはない」 

◎第四章 心霊研究の黄金時代 II――霊能者たちVS.研究者たち
 「縄抜け」ダベンポート兄弟
 「石板書き」ヘンリー・スレード
 心霊研究協会(SPR)の発足
 フレデリック・マイヤーズとSPR
 『生者の幻像』――最初の成果
 『人間個性とその死後の存続』
 SPRの葛藤と分裂
 「SPRの審問官」リチャード・ホジソン
 パイパー夫人への調査
 調査はイギリス本部でも
 ホジソン、自らもスピリチュアリストへ
 クロス・コレスポンデンス

◎第五章 心霊研究後期――英国以外の研究者たちとその成果 
 ツェルナーによるスレードの実験
 セイバート委員会
 ユーサピア・パラディーノの多彩な霊能
 科学者たちの調査
 ユーサピアは詐欺師か?
 マージェリ・クランドンと霊の指紋
 マージェリとヴァリアンタイン、そして浅野和三郎
 エクトプラズム研究①――ノティングによる化学分析
 エクトプラズム研究②――ジュレーと霊の手の塑像
 エクトプラズム研究③――クロフォードの「心霊の杖」論
 エクトプラズム研究④――フィンドレーの「直接談話」のしくみ
 心霊写真家の誕生――W・マムラー、F・ハドソン 
 ウィリアム・ホープの心霊写真 
 ホープと福来友吉による念写実験

◎第六章 スピリチュアリズムの発展と挫折 
 フランス人アラン・カルデックの伝道
 「スピリチュアリズムの女パウロ」エマ・ブリテン
 SPR分裂後――ステイントン・モーゼズの活躍
 ジョージ・ヴェール・オーエン牧師『ヴェールの彼方の生活』
 その他のスピリチュアリズム重要文献
 フォックス姉妹晩年のスキャンダル
 第一次世界大戦の影響――『レイモンド』ベストセラーに 
 コナン・ドイル、「スピリチュアリズムの宣教師」となる 
 スピリチュアリズム再考①――科学との関係 
 スピリチュアリズム再考②――英国の風土と英国人の気質 
 スピリチュアリズム再考③――宗教との関係 
 スピリチュアリズム再考④――大衆化 
 スピリチュアリズム再考⑤――研究の対象となる心霊現象 

◎第七章 超心理学の時代 
 二十世紀・超心理学時代の到来 
 ライン革命――「超感覚的知覚(ESP)」
 サイ(PSI)研究
 二つの不祥事
 マイモニデス夢実験室
 「念写」――福来友吉の研究
 テッド・シリアス、ポラロイドカメラでの念写 
 死後生存①――臨死体験
 死後生存②――生まれ変わり(再生)
 動物サイ
 スプーン曲げ
 キルリアン写真
 心霊治療(治療能力:生体PK) 
 ブレークスルーにむけて 

◎第八章 日本の事情 
 心霊研究後発国――平田篤胤から福来友吉の登場まで 
 長尾郁子念写事件
 三田光一が念写した月の裏側
 福来以後――戦後日本の超心理学
 独自の研究
 日本のスピリチュアリズムの古い伝統
 高橋五郎――スピリチュアリストの先駆者
 浅野和三郎――英文学者から心霊研究家へ 
 浅野、大本教に入信
 鎮魂帰神の法
 欧米心霊行脚
 夫婦による霊界通信
 心霊科学研究会と日本心霊科学協会
 日本スピリチュアリズムの問題点 
 守護霊の多様さとその特殊性
 日本人霊能者たちに求められること 

【付録】
◎降霊会レポート(英国物理霊媒コリン・フライ)
 ・降霊実験会(第一・二・三回) ………………秦 靖幸
 ・リンカーン氏によるトランス・トーク(1)
 ・リンカーン氏によるトランス・トーク(2)
 ・「ノアの方舟協会」の降霊会 in 東京………………三浦清宏

あとがき 
索引/掲載図版リスト/主要参考文献/スピリチュアリズム年表