国書刊行会

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書籍詳細

マニュエル伝

イヴノコトヲスコシ

イヴのことを少し

J・B・キャベル
垂野創一郎

発売日
2019/12/23
判型
ISBN
978-4-336-06541-4
ページ数
403頁

定価 3,520円(本体価格3,200円)

※在庫あり

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内容紹介

赤毛の青年ジェラルドが先祖ドム・マニュエルのロマンスの執筆に没頭していたところに、悪霊が現われ、お前の肉体に乗り移ってお前の現世を引き受けてやろうと言う。又従妹イヴリンとの不義の関係に手を焼いていたジェラルドは申し出をうべなう。さらに以前の魔術仲間から銀の馬カルキを贈られ、彼は勇んで彼方の都アンタンに向かう。あらゆる神の終着地である彼の地を統べる文献学匠になり代わり、その王座に座るつもりなのだ。その途上、不思議な鏡の魔力によって、プロメテウス、ソロモン、オデュッセウス、ネロ、タンホイザーと、ボルヘス「不死の人」のカルタフィルスにも見まごう転生を体験したジェラルドは、あらゆる神の上に立つ至上神としての己の運命をますます深く確信するのだが――『黄金の驢馬』『ガルガンチュアとパンタグリュエル』『ファウスト』『ドン・キホーテ』などの自在な変奏により展開される〈造物主/詩人への悲歌〉。

挿絵:フランク・C・パぺ
装画:木原未沙紀
装丁:山田英春

【シリーズ《マニュエル伝》とは】
豚飼いからポアテム国の救世主となったドム・マニュエルを始祖とする23代9世紀にわたる壮大な年代記。夢想の異世界を巡るロマンスをベースとした冒険喜劇で、原書はエッセイや詩を含む全18巻からなる。本シリーズでは特に評価の高い3冊『ジャーゲン』『イヴのことを少し』『土のひとがた』を刊行する。

著者紹介

J・B・キャベル (ジェイムズブランチキャベル)

アメリカの作家、系図作製者。一八七九年ヴァージニア州リッチモンドの名家に生まれる。幼少時から神話・伝説・聖書を耽読し、大学卒業後、新聞記者を経て作家となる。一九〇四年に長編第一作Eagle's Shadowを発表、本書は架空の王国ポアテムを舞台に二十三代九世紀にわたる一大ファンタジイ・シリーズ《マニュエル伝》全十八巻に発展した。その一冊『ジャーゲン』(一九一九)は「不道徳な内容」のため発禁事件を引き起こし、それが話題を呼んで大ベストセラーとなった。他の代表作に『夢想の秘密』(一九一七。邦訳国書刊行会)『土の人形』(一九二一。邦訳国書刊行会近刊)、『イヴのことを少し』(一九二七。邦訳国書刊行会近刊)など。一九二〇年代は「キャベル時代」とも呼ばれるほど批評界から高い評価を獲得、同時代アメリカ文学を代表する作家と目された。一九五八年に死去。その後一時忘れられた作家となったが、一九七〇年代にはリン・カーターやアーシュラ・K・ル=グウィンらの再評価もあり、SF・ファンタジイ作家への広範な影響が指摘されている。

垂野創一郎 (タルノソウイチロウ)

1958年、香川県生まれ。東京大学理学部卒。訳書にレオ・ペルッツ『最後の審判の巨匠』(晶文社)、『夜毎に石の橋の下で』『ボリバル侯爵』『スウェーデンの騎士』(国書刊行会)、バルドゥイン・グロラー『探偵ダゴベルトの功績と冒険』、アレクサンダー・レルネット=ホレーニア『両シチリア連隊』(東京創元社)など。

目次

 第一部 発端の書
第一章 いかに誘惑者は来たか
第二章 リッチフィールドのイヴリン  
第三章 二人のジェラルド  
第四章 書斎の悪魔  

 第二部 薄明の書
第五章 雄馬の洗礼  
第六章 黄昏のイヴァドネ  

 第三部 ドーンハムの書
第七章 最初の水隙のイヴァシェラー  
第八章 あらゆる姫の母  
第九章 一匹の蝶の末路  

 第四部 デルサムの書
第十章 ケア・オムンの妻たち  
第十一章 鏡の民
第十二章 黄金の旅の混乱  
第十三章 神という奥付  
第十四章 鏡のイヴァルヴァン  

 第五部 リトレイアの書
第十五章 テンホーの卓にて  
第十六章 リトレイアの聖なる鼻  
第十七章 ペテロ霊廟のイヴェイヌ  
第十八章 女狐の最期  
第十九章 覆いの向こう側  

 第六部 テューロインの書
第二十章 奇跡を起こす者らの勤め 
第二十一章 毛布を被る者たち  
第二十二章 スフィンクスの段パラグラフ落  
第二十三章 タオルの不思議な変化
  
 第七部 詩人たちの書
第二十四章 ミスペックの沼地にて  
第二十五章 神はなじむ  
第二十六章 なんという芸術家が!  
第二十七章 星々へのまなざし  

 第八部 魔法使いの書
第二十八章 マーヤの懇ろな魔術  
第二十九章 レウコテアーの歌  
第三十章 ソロモンの望んだもの  
第三十一章 マーリンの騎士道  
第三十二章 いてもいい子供  

 第九部 ミスペックの沼地の書
第三十三章 ガストンの限界  
第三十四章 茶色男の曖昧さ  
第三十五章 カルキとドッペルゲンガーについて  
第三十六章 タンホイザーの狼狽した目
第三十七章 場違いな神の満足  

 第十部 大詰めの書
第三十八章 主教の過去について  
第三十九章 マスグレイヴの洗礼  
第四十章 裏返る木の葉  
第四十一章 あらゆる父の子  
第四十二章 テオドリックは出発する  
第四十三章 救済の経済学  
第四十四章 常識の経済学  
第四十五章 あらゆる幸福との別れ  

 第十一部 残余の書
第四十六章 廃墟への灰色の静かな道  
第四十七章 いかにホルヴェンディルはその一族を見捨てたか  

 第十二部 黙従の書
第四十八章 サイランの勤勉の成果  
第四十九章 二つの真実の勝利  
第五十章 グラウムの脱出  

 訳注  
   
 玩具作りの栄光 垂野創一郎