各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

ブックデザイナー山田英春

『弓と竪琴』(ラテンアメリカ文学叢書12)

オクタビオ・パス 著 牛島信明 訳

『弓と竪琴』は詩論で、私には縁遠いジャンルだったが、学生時代に同じ著者のメキシコ文化論『孤独の迷宮』に大感激し、続けて読んだ。詩論といっても、「精神的運動であるポエジー」について書かれたもので、先住民の文化、神話、政治、映画、シュルレアリスムなどの芸術運動など、広範な分野をダイナミックに論じる。とても苦労して読んだが、刺激に満ちた読書体験だった。

『シュヴァンクマイエルの世界』

ヤン・シュヴァンクマイエル 著 赤塚若樹 編集・翻訳 くまがいマキ 図版構成             

彼がアニメーション作家にとどまらない総合的な芸術家であることを立体的にみせる本だ。インタビュー、撮影日誌、芸術論、詩などのテキストに、映画のスチール、フィルムの断片、ドローイングや立体作品などの豊富な画像をからませて、創作の全体像を俯瞰する。全頁の組版とデザインを担当したが、図版の選択、文字組みのパターン、頁展開など、最大限の裁量を与えてもらった。

『アベラシオン』(バルトルシャイティス著作集1)

ユルギス・バルトルシャイティス 著 種村季弘/巌谷國士 訳             

石マニアとしては、『アベラシオン』もあげないわけにはいかない。所収の「絵のある石」により、「石のイメージの文化史」の流れを知ることができた。繰り返し参照している。