各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

文筆家/ゲーム作家山本貴光

『普遍の鍵』(世界幻想文学大系45) 

パオロ・ロッシ 著 清瀬卓 訳               

そんな道へと私を引き込んだ罪作りな本は、《世界幻想文学大系》の一巻、パオロ・ロッシ『普遍の鍵』だったかと思う。同書でルルスの「結合術」とその系譜について教えられ、自分でも思想史にすっかり深入りすることになった。造本を見て驚き、手にとってうれしく、読んで面白い。なんだこれは、全巻を集め読むしかないではないかと思い定めたのが三〇年ほど前のこと。

《世界映画全史》(全12巻)

ジョルジュ・サドゥール 著 丸尾定/村山匡一郎/出口丈人/小松弘 訳        

同じ頃、映画の歴史を黎明期から眺めてみたいと思っているうちに出会ったのがジョルジュ・サドゥール『世界映画全史』だった。映画の前史から始まって一九二九年までのおよそ百年を全12巻で辿るだなんて、もうこの構想だけで興奮してしまう。

『幕末明治翻訳書事典 文学・伝記・外国語リーダー篇 第一巻 江戸期~明治十九年』(幕末明治翻訳書事典 文学・伝記・外国語リーダー篇)

川戸道昭 編著                 

目下は川戸道昭編著『幕末明治翻訳書事典』(全3巻)の続刊を心待ちにしながら、同書に掲載された本を探し読んでいる。これは形こそは事典だけれど、言うなればメタ全集のようなものでもあるのだ。