スタニスワフ・レム・コレクション 13
レムカクカタリキ
レムかく語りき
スタニスワフ・ベレシとの対話
スタニスワフ・レム/スタニスワフ・ベレシ 著
沼野充義 監訳
後藤正子/菅原祥/木原槙子 訳
発売日 2026/06
判型 四六変型判 ISBN 978-4-336-07137-8
ページ数 696 頁 Cコード 0398
定価 5,280円 (本体価格4,800円)

- シリーズ: スタニスワフ・レム・コレクション
- 人間と地球外存在との遭遇をテーマに世界のSFの新たな地平を切り開いたポーランドの作家スタニスワフ・レム。サイバネティクス、量子力学から、進化論や言語学などの最先端の理論をふまえて構想され、SFのみならず、現代文学のあり方を模索しながら数々の傑作を世に問うてきた作家の代表作を集成し、その全貌に迫るファン待望の作品集。
【内容紹介】
生い立ちから創作過程、文学観、政治情勢から文明論、最先端の科学から宇宙論、そして人類の未来まで、あらゆるテーマについて縦横無尽に、融通無碍に語るレム。
文芸批評家のスタニスワフ・ベレシが聞き手となって1981年11月から1982年8月の間と、その20年後の2001年9月から12月にかけて行われた連続インタビューをまとめた本書は、すさまじい知力と博識の持ち主であり、SF作家という枠だけではとうてい収まりきらない、ユニークな思想家でもあるレムの偉容――科学の様々な領域と最先端の技術に精通し、古代ギリシアから近代の哲学までを頭に入れ、文学も古典から前衛まで博読し、さらには世界の文明と宇宙を一望に入れるようなスケールの大きな視野の持ち主――を浮かび上がらせる。
また本書は第二次世界大戦とホロコースト、戦後のスターリン時代、社会主義体制の行き詰まりと崩壊といった激動を生き抜いてきたポーランドの知識人が語ったオーラル・ヒストリーでもあり、歴史の第一級の貴重な証言ともなっている。
レム自身が紡ぎ続けてきた自らについての物語の到達点にして、レムを知るために決定的に重要な一冊。
【〈スタニスワフ・レム・コレクション〉第Ⅱ期刊行開始特集ページ】
https://www.kokusho.co.jp/special/2021/08/post-17.html
【著者紹介】
スタニスワフ・レム (スタニスワフレム)
1921年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『電脳の歌』など、多くのSF作品を発表し、SF作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70年には現代SFの全2冊の研究書『SFと未来学』を完成。70年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『泰平ヨンの現場検証』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006年に死去。
スタニスワフ・ベレシ (スタニスワフ・ベレシ)
1950年5月4日生まれ。ポーランドの批評家、文芸ジャーナリスト、翻訳家。ヴロツワフ大学教授。1987年から1993年まで、リール(フランス)のシャルル・ド・ゴール大学で研究員を務める。テレビ番組「テレビ文学ニュース」ディレクター・モデレーターを長年務めた他、ニケ文学賞やアンゲルス中欧文学賞などの審査員を歴任し、2013年からは、オソリネウム社『国民文庫』シリーズ編集長。専門分野は20世紀ポーランド文学とメディア・スタディーズ。多くの作家との対話を手掛け、ロングインタビューを単行本にする「対話の河」の第一人者として定評がある。主な著書に、『煉獄の半世紀──タデウシュ・コンヴィツキとの対話』(1986)、『対話によるポーランド文学史──20~21世紀』(2002)、『歴史とファンタジー──アンジェイ・サプコフスキとの対話』(2005)、『ガイツィ──死の輪の中で』(2016)など。2016年11月にはヴロツワフで大規模な国際レム学会議を主催した。
沼野充義 (ヌマノミツヨシ)
1954 年、東京都生まれ。東京大学卒、ハーバード大学スラヴ語学文学科博士課程に学ぶ。ワルシャワ大学講師、東京大学・名古屋外国語大学教授を経て、現在東京大学・名古屋外国語大学名誉教授。著書に『徹夜の塊』三部作(『亡命文学論』『ユートピア文学論』『世界文学論』、作品社)、『ロシア文学を学びにアメリカへ?』(中公文庫)、『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(講談社)、編著書に『東欧怪談集』『ロシア怪談集』(河出文庫)、『世界は文学でできている 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義』全5巻(光文社)、訳書にスタニスワフ・レム『ソラリス』(国書刊行会およびハヤカワ文庫SF)、ヴィスワヴァ・シンボルスカ『終わりと始まり』(未知谷)、ウラジーミル・ナボコフ『賜物』(新潮社)、『新訳 チェーホフ短篇集』(集英社)などがある。
後藤正子 (ゴトウマサコ)
東京外国語大学ロシア語科、東京大学文学部卒。ポーランド政府給費留学生としてヤギェロン大学に学ぶ。ポーランド語翻訳者。スタニスワフ・レム作品を中心に、分野横断的なテクストを手がけつつ、原文の思考構造や言葉のニュアンスを日本語に生かすことを心がけている。訳書にスタニスワフ・レム『マゼラン雲』(国書刊行会)。同書「訳者あとがき」を自ら訳したポーランド語版が、ヤギェロン大学紀要Konteksty Kultury(2025年第3号)に掲載。ほかに図録翻訳などがある。
菅原祥 (スガワラショウ)
1981年生まれ。京都大学卒、同大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。開智国際大学専任講師等を経て、現在、京都産業大学現代社会学部教授。専門は文化社会学、ポーランド文化研究など。著書に『ユートピアの記憶と今――映画・都市・ポスト社会主義』(京都大学学術出版会)、論文に「労働英雄を思い出すということ――アンジェイ・ワイダ監督『大理石の男』を中心に」(『スラヴ学論集』第18号)、訳書にヤヌシュ・コルチャク『コルチャク ゲットー日記』(共監訳、みすず書房)、タデウシュ・コンヴィツキ『現代の夢解きの本』(幻戯書房、近刊)などがある。
木原槙子 (キハラマキコ)
東京外国語大学ポーランド語専攻卒、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。現在、ポーランド、ポズナン市のアダム・ミツキェーヴィチ大学講師。ポーランドの文学学術誌„Ruch Literacki”等に論文を発表。共訳書に『ショパン全書簡――パリ時代』上・下(岩波書店)、スタニスワフ・レム『火星からの来訪者』(国書刊行会)がある。