ルーリードオレノタイキョクケン
ルー・リード 俺の太極拳
ルー・リード 著
ローリー・アンダーソン 編
吉田俊太郎 訳
発売日 2025/12
判型 ISBN 978-4-336-07805-6
ページ数 480 頁 Cコード 0073
定価 4,180円 (本体価格3,800円)

【内容紹介】
「何を創り、どう生きるか。太極拳が俺に教えてくれた」――ルー・リード
伝説的バンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」でデビュー、半世紀にわたり偉大なキャリアを築いたロック界の巨星、ルー・リード。アンディ・ウォーホル、メタリカからロバート・ウィルソンまで、ジャンルを超えた数々のアーティストとのコラボレーションでも知られる。
一方で彼は、陳式太極拳の達人レン・グゥアンイー(任廣義)師のもとで修行を重ねた、ストイックな武道家でもあった。本書は、ルー・リードが太極拳に捧げた思想・実践・精神を、未発表原稿やエッセイ、対話、日記、写真などを通じて全方位的に記録した決定版。
編纂はパートナーであるマルチメディア・アーティスト、ローリー・アンダーソンが担当。ヴィム・ヴェンダース、イギー・ポップ、ジュリアン・シュナーベル、アノー二、ジョナサン・リッチマン、ミンギュル・リンポチェら、ミュージシャン/アーティスト/武道家との深い対話も収録され、ルー・リードの精神世界が立体的に描かれる。150点以上の写真や未公開印刷物、カラーページも収録。
太極拳の技術・目的・哲学、さらには瞑想や人生観に至るまで、ルー・リードの芸術と身体、思索の全貌に迫る、かつてない一冊。
「大げさに聞こえるかもしれないけど、ゴールドレコードや名声だけじゃ、人生に求めているものは足りないんだ。戦士のように成熟したい。これまで学ぶ機会のなかった、力と優雅さがほしい……。
太極拳は、見えない力、そう、宇宙の力とつながる手段なんだ。最良のエネルギーが自分の中に流れ込み、やがて心と体が“見えない力”そのものになっていく」(本文より)
【田中泯さん推薦!】
《ルー・リードのカラダ》
「折々に、ルー・リードの音楽を聴き、気分に任せて幾度も踊った。もう半世紀も昔からだ。ヨーロッパで東西の壁が壊れ始めたころ、ニューヨークの友人の家でローリー・アンダーソンと一緒のルー・リードに出会った。言葉は一言も思い出せない。僕はルーの佇まいに魅了されていた。手前勝手な付き合いが始まったのだ。そして、2013年3才年上のルーとローリーの家で遺影を前にして僕はルーの佇まいを写生するように踊ったのでした。
僕を惹きつけたルーの佇まいは色褪せずに存在している、がこの本を知ったのはつい近頃のこと、驚きと喜びは大きい。前書きでローリーが語っている通り、この本にはルーの多くの友人達の言葉と文章と共にルーの言葉が生きている。言葉がカラダとなってたくさんのルーが登場する。My Taichi(俺の太極拳)と言うこの本の凄さを語るのは本当に難しい。太極拳入門書としても充分にその役をこなしているが、読む人によってこの本の間口奥行きは広がり続けるに違いない。まさに、「エキサイティングなポートレート」なのだ。
僕にとって、この本はルー・リードの佇まいの確かさを裏付けるカラダ発見の書となるに違いない。加えて言ってみればオドリ発見の書ともなるのだ。この本と遊び続けたい。」
──田中 泯(ダンサー、俳優)
デザイン:戸塚泰雄(nu)
【著者紹介】
ルー・リード
1942年、ニューヨーク州ブルックリンに生まれる。65年に実験音楽の背景を持つ先鋭的なバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのシンガーとしてデビュー。72年に『ロックの幻想』でソロデビュー、その後50年にわたってソロキャリアを築き、『トランスフォーマー』『コニー・アイランド・ベイビー』『ザ・レイヴン』などロック史に残るアルバムを発表した。オルタナティブな音楽性と陰翳に富む歌声、独特の詩世界は多くのファンを獲得した。2019年にフェイバー&フェイバー社から歌詞集『I'll Be Your Mirror』が出版され、タイムズ紙の年間最優秀ブックに選ばれている。ローリー・アンダーソンは1992年以来の伴侶。2013年に死去。
ローリー・アンダーソン
1947年、シカゴに生まれる。ビジュアルアーティスト、作曲家、詩人、写真家、映画製作者、エレクトロニクスの達人、ボーカリスト、楽器奏者。1980年に「オー・スーパーマン」でレコーディングキャリアをスタート。現在まで、描画、マルチメディアインスタレーション、パフォーマンス、拡張現実を使用した新しいプロジェクトを次々と発表している。2006 年には夢の絵本『Night Life』を出版した。ルー・リードとは1992年から21年間をともに暮らす。ニューヨーク州在住。
吉田俊太郎 (ヨシダシュンタロウ)
翻訳家。訳書に『映画もまた編集である』『習得への情熱』(みすず書房)、『あるミニマリストの物語』『空想映画地図』『クエンティン・タランティーノ』『ストーリーボードで学ぶ物語の組み立て方』(フィルムアート社)、『死の仕事師たち』(白揚社)など多数。