ベル・エポック怪人叢書 3

ファントマトトラワレノオウ

ファントマと囚われの王

ピエール・スヴェストル/マルセル・アラン 著
赤塚敬子 訳

発売日 2025/10/24

判型 四六変型判   ISBN 978-4-336-07358-7

ページ数 560 頁   Cコード 0397

定価 4,180円 (本体価格3,800円)

シリーズ: ベル・エポック怪人叢書 (ベルエポックカイジンソウショ)
【全3巻・4冊】 エッフェル塔が建ち、地下鉄が走るフランス黄金期―― ベル・エポックの世に怪人たちが跋扈する! 強盗・殺人お手のもの、 三面記事をにぎわす悪のアイコンを集成。 華やかなりし新聞連載小説時代の めくるめくベストセラー活劇。 完訳・初訳のダークヒーロー犯罪小説! ★第1回配本 2022年7月刊行予定 レオン・サジ『ジゴマ』上・下、(安川孝訳) ★第2回配本 2022年9月刊行予定 ガストン・ルルー『シェリ=ビビの最初の冒険』(宮川朗子訳) ★第3回配本 ピエール・スヴェストル、マルセル・アラン『ファントマと囚われの王』(赤塚敬子訳) 「ベル・エポックとは「美しい時代」という意味で、1900年の万博に象徴されるように、フランスの19世紀末から20世紀初頭を指す。当時のフランスには、世界でも破格の100万部前後の発行部数を誇る新聞が四紙もあり、その紙面を飾ったのがしばしば犯罪をテーマとする連載小説である。美しい時代は、犯罪者や悪党がうごめく不安な時代でもあった。〈ベル・エポック怪人叢書〉は、この時代を代表する作品を収めた魅力的なシリーズ。同時期のルブランが創造した怪盗ルパン以上に裏社会で暗躍する恐るべき、時として悲劇的な、そしてつねにカッコいいダークヒーローが登場して、息もつかせぬ物語が展開する。大衆文学とあなどるなかれ! 作者は当時最新の科学、医学、テクノロジーの知を駆使して、社会の闇と民衆の秘めた欲望をあぶりだす。現代人でもあっと驚くような技術や、状況の反転が利用される(詳細は読んでのお楽しみ!)。そしてこれらの作品は、誕生してまもない映画の題材にもなった。時代の感性と鋭敏に共鳴し、その後の大衆小説の流れに大きく影響した作品群の邦訳は、まさしく快挙である」小倉孝誠(フランス文学・文化史)

【内容紹介】

「俺はファントマだよ、陛下!」

フランス史上最大の怪人。
元祖黒マスクの怪人──バットマンも、怪人二十面相も、源流はファントマにあり!

ジューヴ警部とファントマの因縁の対決。
愛人殺し容疑の王の身代わりに幽閉された、新聞記者ファンドールの危機一髪!
久生十蘭が換骨奪胎し『魔都』を生んだ怪作。
ダークヒーロー犯罪小説。

コンコルド広場の噴水のニンフ像が夜な夜な歌をうたう──大晦日、新聞記者ファンドールはお忍びでパリにやってきたヘッセ=ヴァイマル王国の王と意気投合。ところが王の愛妾死亡事件に巻き込まれ、ひょんなことから王の身代わりを演じるはめに。相棒の敏腕警部ジューヴはファンドールを救いだすべく奔走! これもファントマ? あれもファントマ! 怪人の狙いはいかに? パリを縦横無尽に追跡する、めくるめく死闘のスペクタクル。

元祖黒マスクの怪人ファントマ。今なおフランスで絶大なる人気を誇り、映画にもなり絵にも描かれ、おびただしいフォロワーを生んだ悪のアイコンは、コクトーに、マグリットに、ブルトンに、横尾忠則に愛された。犯罪大活劇のファントマ・シリーズ全32巻より、もっともファントマらしいと謳われるうちの一冊を本邦初訳。

ジゴマ、シェリ=ビビ、そしてこのファントマで、ついに完結を迎える〈ベル・エポック怪人叢書〉の第3回配本。

【著者紹介】

ピエール・スヴェストル (ピエールスヴェストル)

Pierre Souvestre 1874-1914
フランスのジャーナリスト、小説家。ブルターニュ地方フィニステール県プロムラン生まれ。元知事の息子として幼少時よりパリで育つ。弁護士資格をもつが文筆業に忙しく、自動車およびモータースポーツのジャーナリスト、実業家として活躍。そしてなにより、秘書のアランと共作したファントマ・シリーズで名を馳せる。1914年に早逝、享年39。

マルセル・アラン (マルセルアラン)

Marcel Allain 1885-1969
フランスのジャーナリスト、小説家。パリ生まれ。弁護士の息子として法曹界を志すがジャーナリストに転じる。スヴェストルの秘書及びゴーストライターとなり、のちにスヴェストルとファントマ・シリーズ全32巻を手がける。スヴェストル没後も11作を書き継いだ。著作は400作を超える。

赤塚敬子 (アカツカタカコ)

1980年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。東京都立大学非常勤講師。著書に『ファントマ――悪党的想像力』(風濤社)、訳書にスヴェストル&アラン『ファントマ』(風濤社)がある。