オトコタチノシラナイオンナ1

男たちの知らない女 Ⅰ

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの二つの生涯  

ジュリー・フィリップス 著
北川依子 訳

発売日 2025/12

判型 四六変型判   ISBN 978-4-336-07782-0

ページ数 444 頁   Cコード 0098

定価 3,960円 (本体価格3,600円)

【内容紹介】

『愛はさだめ、さだめは死』『たったひとつの冴えたやりかた』などの名作で知られる伝説のSF作家ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、初の決定版伝記がついに登場。波乱に満ちたドラマチックな生涯を追った傑作ノンフィクション!

◎2006年全米批評家協会賞、2007年ヒューゴー賞、ローカス賞受賞

 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアは1968年、鋭利で挑発的な作品群とともに突如SF界に現れた。男性的な文体で技巧を駆使した傑作を立て続けに発表し、「接続された女」「愛はさだめ、さだめは死」がヒューゴー賞、ネビュラ賞を受賞、現代SFのトップを特異な天才作家として活躍する。しかし、その正体は謎に包まれていた。
 1976年、彼がヴァージニアに住む61歳の女性であることが明らかになり、SF界に衝撃を与えた。彼女、アリス・ブラッドリー・シェルドンは1915年シカゴ生まれ、幼少期から小説家の母に連れられてアフリカの冒険旅行に参加、画家・陸軍隊員・CIAエージェント・実験心理学者……と転身を遂げた、驚くべき経歴の持ち主だった。
 その後も名作の誉れ高い『たったひとつの冴えたやりかた』等を刊行するが、87年突然凄絶な最期を遂げ、世界に新たな衝撃を与えた。そして、SFの頂点をきわめた伝説的作品群はいまも読みつがれている。
みずからのジェンダーとセクシュアリティをめぐる葛藤に苦しみながらも、野心にあふれ、時代のはるか先を歩んだ女性、アリス・B・シェルドン/ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア――本書はその矛盾に満ちた豊かな二つの人生を、日記・書簡などの厖大な未発表資料と関係者への綿密な取材をもとに詳らかにする、比類なき作家の決定版伝記である。

装幀:佐野裕哉

【著者紹介】

ジュリー・フィリップス (ジュリーフィリップス)

アメリカ、シアトル生まれ。伝記作家・評論家。文学・映画・フェミニズムについて《ニューヨーカー》《ヴィレッジ・ヴォイス》《ミズ》をはじめとする多くの雑誌に寄稿。本書で2006年全米批評家協会賞のほか、ヒューゴー賞、ローカス賞など多数受賞。著書にThe Baby on the Fire Escape: Creativity, Motherhood and the Mind-Baby Problem (2022)がある。現在アーシュラ・K・ル=グウィンの伝記を執筆中。

北川依子 (キタガワヨリコ)

京都府生まれ。京都大学卒、博士(文学)。東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授。専門はイギリス小説。訳書にハミルトン『孤独の部屋』(新人物往来社)、ジャクスン『鳥の巣』(国書刊行会)、メトカーフ『死者の饗宴』(国書刊行会、共訳)、ミッチェル『ボーン・クロックス』(早川書房)などがある。