オーストリア綺想小説コレクション 2
ダンシャクトウオ
男爵と魚
ペーター・マーギンター 著
垂野創一郎 訳
発売日 2025/03/24
判型 四六変型判 ISBN 978-4-336-07681-6
ページ数 336 頁 Cコード 0097
定価 4,400円 (本体価格4,000円)
- シリーズ: オーストリア綺想小説コレクション (オーストリアキソウショウセツコレクション)
- 千年の歴史を誇り、最盛期には広大な領土を保有していたハプスブルク帝国。しかし第一次世界大戦が終わると、それは中欧の小共和国と化してしまった。いままで存在しているとばかり思っていた「帝国」は空疎な幻だったのか。 しかし失われた帝国への想いは、その後も見果てぬ夢として、もともとあった奇矯さを誇張されながら生きながらえ、ある種の作家の尽きせぬ霊感の源となった。そこでは世界は迷宮でなければならない。煩雑な官僚制度が支配していなくてはならない。モーツァルトが絶えず奏でられてなくてはならない。何より、その日その日を愉快に暮らすために存在する巨大な遊園地でなければならない...... このコレクションは、今まであまり知られていなかったそうした作家・作品を精選し、オーストリアの豊饒な幻想世界をその一端なりとも紹介しようとするものである。【全3巻】
【内容紹介】
野党カワウソ党の陰謀で国を追われた魚類学者のクロイツ‐クヴェルハイム男爵は、ウィスキー樽の中で六百年前から生きているスコットランドの先祖の加勢を得て、気球戦団を率いてウィーン征伐に出発するも、嵐でピレネー山麓に不時着を余儀なくされる。だがそれは世紀の発見への入口でもあった。神と人、獣と人が自在に交わる博物学の楽園で、ホムンクルスや天上界の存在をも巻き込む一大ページェントここに開幕。
装丁 コバヤシタケシ
【著者紹介】
ペーター・マーギンター (ペーター・マーギンター)
1934年ウィーンに生まれる。ウィーン商工会議所秘書、トルコおよびイギリスのオーストリア大使館付文化担当官、外務省部局長を経てロンドンのオーストリア文化事業センター長に就任。1966年に『男爵と魚』で小説家デビュー。主な長篇に探偵神秘小説{クリミステリウム}の副題を持つ『死んだ叔父』(67)、『ケーニッヒルーフェン』(73)、『万事休す』(83)などがある。ウォルター・デ・ラ・メアなどの翻訳でも知られる。2008年没。
垂野創一郎 (タルノソウイチロウ)
1958年、香川県生まれ。東京大学理学部卒。訳書に《オーストリア綺想小説コレクション》全3巻(国書刊行会)、ペルッツ『夜毎に石の橋の下で』『ボリバル侯爵』『スウェーデンの騎士』(国書刊行会)、『アンチクリストの誕生』(筑摩書房)、マイリンク『ワルプルギスの夜』(国書刊行会)、ボルヘス/フェラーリ『記憶の図書館 ボルヘス対話集成』(国書刊行会)、バルドゥイン・グロラー『探偵ダゴベルトの功績と冒険』(東京創元社)、編訳書『怪奇骨董翻訳箱 ドイツ・オーストリア幻想短篇集』(国書刊行会)など。