ボウエン・コレクション 2

キタヘ

北へ

エリザベス・ボウエン 著
太田良子 訳

発売日 2021/06/24

判型 四六判   ISBN 978-4-336-07104-0

ページ数 440 頁   Cコード 0397

定価 2,970円 (本体価格2,700円)

シリーズ: ボウエン・コレクション 2 (ボウエンコレクションニ)
20世紀英国文壇を代表する作家エリザベス・ボウエン。1920-30年代という戦間期の不安と焦燥を背景に、ボウエンならではの気配と示唆に浮かぶ男女の機微―—。本邦初訳の初期小説三冊を集成した待望のコレクション。

【内容紹介】

仕事か恋愛か? ロンドンに同居する義姉妹それぞれの恋愛を
1930年代戦間期のモータリゼーションにのせ結末のカタルシスへ――
エリザべス・ボウエンの長篇第4作
〈ボウエン・コレクション2〉第3回配本

エメラインは25歳、兄ヘンリーがセシリアと結婚して1年足らずで他界した機縁から、義姉セシリアとロンドンにあるフラットを共有し暮らしている。優雅で怠惰な未亡人のセシリア、マイカーを持ち旅行会社を営む20世紀のキャリアウーマンのエメライン。セシリアはイタリアから帰る急行列車の車中で、法廷弁護士マーキーと知り合う。世慣れたマーキーはまもなくエメラインに接近し、飛行機でパリに遊ぶ仲に。セシリアは無難で裕福なジュリアンから求婚される……。結末のカタルシスは?

「ページを開けばすぐに物語が動きだし、
会話だけ追っていけば話の大筋がわかってしまうという
読者に媚びを売るサービス小説の対極にあるのが、
エリザベス・ボウエンの作品だ」
豊﨑由美氏推薦!

【著者紹介】

エリザベス・ボウエン (エリザベスボウエン)

300年続いたアングロ―アイリッシュの一族として、1899年アイルランド・ダブリンで生まれ、1973年ロンドンの病院で永眠した。二つの祖国を持ち、二度の世界戦争と戦後の廃墟を目撃し、10篇の小説と約100篇の短篇その他を遺した。ジェイムズ・ジョイスやヴァジニア・ウルフに並ぶ20世紀を代表する作家の一人。気配と示唆に富む文章は詩の曖昧性を意図したもの。最後の長篇『エヴァ・トラウト』はブッカー賞候補となった。近年のボウエン研究は、戦争と戦争スパイ、人間と性の解放、海外旅行熱と越境、同性愛とジェンダー問題等々、ボウエンの多面的なフィクション世界を明らかにしつつある。邦訳に、『エヴァ・トラウト』『リトル・ガールズ』『愛の世界』『ボウエン幻想短篇集』(国書刊行会)、『パリの家』『日ざかり』『心の死』(晶文社)他。

太田良子 (オオタリョウコ)

1939年東京生まれ、旧姓小山。東京女子大学卒、1962年受洗、1964年結婚、1971-75年夫と長女とともにロンドン在住。1979年東京女子大学大学院修了、1981年東洋英和女学院短期大学英文科に奉職。1994-95年ケンブリッジ大学訪問研究員、1998-2009年東洋英和女学院大学国際社会学部教授。東洋英和女学院大学名誉教授、日本文藝家協会会員、エリザベス・ボウエン研究会代表、日本基督教団目白教会会員。主な翻訳書にアンジェラ・カーター『ワイズ・チルドレン』(早川書房)、ルイ・ド・ベルニエール『コレリ大尉のマンドリン』(東京創元社)、E・ボウエン『エヴァ・トラウト』『リトル・ガールズ』『愛の世界』『ボウエン幻想短篇集』(国書刊行会)、『パリの家』『日ざかり』『心の死』(晶文社)他。