ボウエン・コレクション 2

トモダチトシンセキ

友達と親戚

エリザベス・ボウエン 著
太田良子 訳

発売日 2021/05/25

判型 四六判   ISBN 978-4-336-07103-3

ページ数 296 頁   Cコード 0397

定価 2,970円 (本体価格2,700円)

シリーズ: ボウエン・コレクション 2 (ボウエンコレクションニ)
20世紀英国文壇を代表する作家エリザベス・ボウエン。1920-30年代という戦間期の不安と焦燥を背景に、ボウエンならではの気配と示唆に浮かぶ男女の機微―—。本邦初訳の初期小説三冊を集成した待望のコレクション。

【内容紹介】

〈ボウエン・コレクション2〉第2回配本!

ローレルとジャネット姉妹二組の結婚の祝宴に漂う過去の影、
暗い秘密があざなう三世代の葛藤をゴシック屋敷の四季に描くボウエンの才気。
エリザべス・ボウエンの長篇第3作、本邦初訳!

スタダート家の長女ローレルとティルニー家のエドワードの結婚式は朝から雨が降っていた。そのすぐあとローレルの妹ジャネットが、家族の意表をついて、メガット家のロドニーと結婚する。エドワードの母レディ・エルフリーダは5歳の彼を捨てた。コンシダイン・メガットとの関係が露見し、夫が即離婚したからだ。ロドニーはこのコンシダインの甥で、広壮なバッツ・アビーの後継者。スタダート家とティルニー家はこの「醜聞」を介して婚姻関係を結ぶ。10年後、姉妹二組それぞれに子供も生まれる。星霜を経てエドワードとジャネットの間によみがえる秘めた想い、二人のその有様を子供たちが見ている……。

「ボウエンは会話だけでなく、描写によってそこで何が起きているのかを示す。
登場人物の行動、いる場所、そばにある物、聞こえている音……。
登場人物の発する言葉の背後にある気持ちや意味、
それが発せられた理由となる過去を匂わせる」
豊﨑由美氏推薦!

【著者紹介】

エリザベス・ボウエン (エリザベスボウエン)

300年続いたアングロ―アイリッシュの一族として、1899年アイルランド・ダブリンで生まれ、1973年ロンドンの病院で永眠した。二つの祖国を持ち、二度の世界戦争と戦後の廃墟を目撃し、10篇の小説と約100篇の短篇その他を遺した。ジェイムズ・ジョイスやヴァジニア・ウルフに並ぶ20世紀を代表する作家の一人。気配と示唆に富む文章は詩の曖昧性を意図したもの。最後の長篇『エヴァ・トラウト』はブッカー賞候補となった。近年のボウエン研究は、戦争と戦争スパイ、人間と性の解放、海外旅行熱と越境、同性愛とジェンダー問題等々、ボウエンの多面的なフィクション世界を明らかにしつつある。邦訳に、『エヴァ・トラウト』『リトル・ガールズ』『愛の世界』『ボウエン幻想短篇集』(国書刊行会)、『パリの家』『日ざかり』『心の死』(晶文社)他。

太田良子 (オオタリョウコ)

1939年東京生まれ、旧姓小山。東京女子大学卒、1962年受洗、1964年結婚、1971-75年夫と長女とともにロンドン在住。1979年東京女子大学大学院修了、1981年東洋英和女学院短期大学英文科に奉職。1994-95年ケンブリッジ大学訪問研究員、1998-2009年東洋英和女学院大学国際社会学部教授。東洋英和女学院大学名誉教授、日本文藝家協会会員、エリザベス・ボウエン研究会代表、日本基督教団目白教会会員。主な翻訳書にアンジェラ・カーター『ワイズ・チルドレン』(早川書房)、ルイ・ド・ベルニエール『コレリ大尉のマンドリン』(東京創元社)、E・ボウエン『エヴァ・トラウト』『リトル・ガールズ』『愛の世界』『ボウエン幻想短篇集』(国書刊行会)、『パリの家』『日ざかり』『心の死』(晶文社)他。