ラスト・ストーリーズ

ラスト・ストーリーズ

ウィリアム・トレヴァー 著
栩木伸明 訳

発売日 2020/08

判型 四六判   ISBN 978-4-336-07032-6

ページ数 258 頁   Cコード 0097

定価 2,640円 (本体価格2,400円)

【内容紹介】

2016年に惜しくも逝去した名匠トレヴァー、最後の短篇集がついに登場。妻の死を受け入れられない男と未亡人暮らしを楽しもうとする女、それぞれの人生が交錯する「ミセス・クラスソープ」、一人の男を愛した幼馴染の女二人が再会する「カフェ・ダライアで」、ストーカー話が被害者と加害者の立場から巧みに描かれる「世間話」、記憶障害をもった絵画修復士が町をさまよい一人の娼婦と出会って生まれる奇跡「ジョットの天使たち」など、ストーリーテリングの妙味と人間観察の精細さが頂点に達した全10篇収録。

〈すごい作家だった。文章をそっと裏返して、デリケートな部分を一瞬のうちにさらけ出せるのだ。彼の作品はいつも静かな共感にあふれていた〉エリザベス・ストラウト
〈素晴らしい書き手……彼の作品に出会わなければ、私はそもそも作家にならなかっただろう〉イーユン・リー
〈偉大な短篇作家のひとりで、最高の作品はチェーホフに比肩する〉ジョン・バンヴィル
〈作家としての彼は油断なく、感傷に陥らず、脆さと悪意を見逃さなかった。名匠である〉アン・エンライト
〈ウィリアム・トレヴァー、その人物——その仕事——は異彩を放ち、格調があり、予想外で、頼もしく、精密で、飾りがなく、しばしば悲しく、ときには可笑しく、ぎょっとさせ、卒倒させかねないほどだった〉ロディ・ドイル

【著者紹介】

ウィリアム・トレヴァー (ウィリアムトレヴァー)

1928年、アイルランドのコーク州生まれ。トリニティ・カレッジ・ダブリンを卒業後、教師、彫刻家、コピーライターなどを経て、60年代より本格的な作家活動に入る。65年、第二作「同窓」がホーソンデン賞を受賞、数多くの賞を受賞している(ホイットブレッド賞は3回)。短篇の評価はきわめて高く、初期からの短篇集7冊を合せた短篇全集(1992年)はベストセラー。現役の最高の短篇作家と称され、ノーベル文学賞候補にもたびたび名前が挙がった。長篇作に『フールズ・オブ・フォーチュン』(論創社)『フェリシアの旅』(角川文庫)『恋と夏』(小社刊)、短篇集に『聖母の贈り物』『アイルランド・ストーリーズ』『異国の出来事』『ふたつの人生』(以上小社刊)『密会』(新潮社)『アフター・レイン』(彩流社)などがある。2016年逝去。

栩木伸明 (トチギノブアキ)

1958年生まれ。上智大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学教授。専攻は現代アイルランド文学・文化。著書に『アイルランド紀行』(中公新書)『アイルランドモノ語り』(みすず書房、読売文学賞受賞)、訳書にキアラン・カーソン 『シャムロック・ティー』(東京創元社)コルム・トビーン『ブルックリン』(白水社)ブルース・チャトウィン『黒ケ丘の上で』(みすず書房)などがある。