ドーキー・アーカイヴ

シシャノキョウエン

死者の饗宴

ジョン・メトカーフ 著
横山茂雄 訳・監修
北川依子 訳
若島正 監修

発売日 2019/05/24

判型 四六変型判   ISBN 978-4-336-06065-5

ページ数 320 頁   Cコード 0397

定価 2,860円 (本体価格2,600円)

シリーズ: ドーキー・アーカイヴ (ドーキー・アーカイヴ)
知られざる傑作、埋もれた異色作を、幻想・奇想・怪奇・ホラー・SF・ミステリ・自伝・エンターテインメント等ジャンル問わず、年代問わず本邦初訳作品を中心に紹介する、新海外文学シリーズがついに刊行開始!

【内容紹介】

20世紀英国怪奇文学における幻の鬼才、
知られざる異能の物語作家、ジョン・メトカーフ。
不安と恐怖と眩暈と狂気に彩られた
怪異談・幽霊物語・超自然小説の傑作を集成する
本邦初の短篇集がついに登場!

〈要注意! 錯乱と妄想、腐敗と穢れに満ちた世界に触れたくなければ、本書を読んではいけない……〉横山茂雄

その刹那、わたしの眼に映った息子の顔に浮かんでいた恍惚の表情は美しかったが、同時に年老いてもいた……少年と彼に取り憑いた正体不明の存在〈あれ〉との顛末を妖しく語り、読者の想像を超える衝撃的な結末を迎える代表作中篇「死者の饗宴」のほか、〈サトレジ号でたぶん1898年だった〉という謎の言葉と不気味な子供に翻弄される男を描く狂気に満ちた怪異談「ブレナーの息子」、ビルマの神秘な力を持つ宝石と護符をめぐる奇妙な物語「煙をあげる脚」など、知られざる英国怪奇文学の名手による異形のホラー・ストーリー、幽霊物語、超自然小説を厳選した全8篇。

【著者紹介】

ジョン・メトカーフ

1891年英国ノーフォーク州生まれ。カナダ、ロンドン、スコットランドなどで暮らした後、ロンドン大学で哲学を修めて教職に就き、第1次世界大戦中は英国海軍歩兵師団、陸軍航空隊に所属する。戦後教員に戻り余暇に小説を書き始め、短篇を文芸誌に投稿、1925年に『煙をあげる脚』を刊行、好評を博す。同時期にアメリカの新進作家イヴリン・スコットと結婚。その後短篇集『ユダ』や幾つかの長篇を刊行するが、精神病院への入院を繰り返し、極度の貧困のなかアルコール依存症に苦しみつつ1965年逝去。

横山茂雄 (ヨコヤマシゲオ)

1954年生まれ。
奈良女子大学名誉教授。京都大学大学院文学研究科修士課程英米文学専攻修了。博士(文学)。
主な著書:『異形のテクスト』(国書刊行会、1998年)、『定本 何かが空を飛んでいる』(稲生平太郎名義、国書刊行会、2013年)、『神の聖なる天使たち』(研究社、2016年)、『増補 聖別された肉体』(創元社、2020年)、『コンスピリチュアリティ入門』(共著、創元社、2023年)。
主な訳書:ジェフェリー・アッシュ『アーサー王伝説』(平凡社、1992年)、ローレンス・ライト『悪魔を思い出す娘たち』(稲生平太郎名義、柏書房、1999年)、マーヴィン・ピーク『行方不明のヘンテコな伯父さんからボクがもらった手紙』(国書刊行会、2000年)。

北川依子 (キタガワヨリコ)

1967年京都府生まれ。京都大学卒、博士(文学)。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専門はイギリス小説。訳書にハミルトン『孤独の部屋』(新人物往来社)、コリンズ『バジル』(宮川美佐子と共訳、臨川書店)、ジャクスン『鳥の巣』(国書刊行会)がある。

若島正 (ワカシマタダシ)

1952年生まれ。京都大学大学院修了。京都大学大学院文学研究科教授。著書に『乱視読者の英米短篇講義』(研究社、第55回読売文学賞随筆・紀行賞受賞)、『乱視読者の帰還』(みすず書房、平成14年度本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)、訳書にナボコフ『ロリータ』(新潮社)、『透明な対象』(国書刊行会、共訳)、スタージョン『海を失った男』(晶文社、編訳)など。