テッカントブンダンショウマキョウジケン

鉄幹と文壇照魔鏡事件

木村勲 著

発売日 2016/06/17

判型 四六判   ISBN 978-4-336-06025-9

ページ数 328 頁   Cコード 0095

定価 2,420円 (本体価格2,200円)

【内容紹介】

明治34年(1901)春、文壇の寵児・与謝野鉄幹を、女性・金銭関係から激しく非難する『文壇照魔鏡』が刊行された。明らかにプロの筆だが、著者・発行所などすべて偽名とすぐ判明。だが、多くのメディアが同調的立場から一斉に鉄幹批判を展開した。明治文壇史上の著名な怪事件となる。一年前、鉄幹が始めた「明星」は、アールヌーボー調の装丁に晶子・山川登美子らの恋歌を前面にヒットし、先行の文芸紙・誌を凌ぐ急伸を見せた。その絡みから犯人捜しとして語られ、複数人の名が取りざたされてきた。
本書は跡付け、動機も解明ーー 一個人の情念が一つの時代相さえ容易に作り出す、新たな社会的道具が力を見せつけた。意外にも事後に心の傷を引きずるような行為者と、早い死の床に迫りくる魔的なものを聞きながら作歌し続けた、知られざる真の被害者の姿が・・・・・・。メディア時代の幕開けに生じた一件が現在に示唆を与える。明星史の再検討でもある。

【著者紹介】

木村勲 (キムラ イサオ)

 1943年、静岡県生まれ。一橋大学社会学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。日本社会史・近代文芸論。朝日新聞記者を経て関西大学非常勤講師、神戸松蔭女子学院大学教授を務めた。著書に『日本海海戦とメディア――秋山真之神話批判』(講談社選書メチエ)など。