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中国古代車馬の考古学的研究

趙海洲 著
岡村秀典 監訳
石谷慎/菊地大樹 訳

発売日 2014/10/03

判型 B5判   ISBN 978-4-336-05804-1

ページ数 224 頁   Cコード 0022

定価 8,140円 (本体価格7,400円)

【内容紹介】

 洋の東西を問わず、古代の軍事と礼制において重要な役割を持っていた車馬は、中国古代においても、社会生活や軍事活動の「道具」として用いられただけでなく、政治と文化における特殊な意義をもっていたとされる。
 中国古代社会の車は、先秦時代より社会身分と地位の象徴となっていた。さまざまな場面と活動に応じて各種の車が使い分けられ、車にはさまざまな政治的なランクと用途ごとの役割が刻みつけられていたのである。
 また古代の埋葬儀礼において、馬には単独の使用、車と組み合わせた使用、軍人と結び付いた使用など、各種の「機能」があった。車馬は社会の上層階級に大いに重視されたため、車・馬と車馬(車馬具とその明器を含む)は古代における高位の墓葬と祭祀遺跡から多く発見される。そのため車馬埋葬を通じて、当時の社会を認識し理解することができるのである。
 近年、車馬埋葬に関しても考古学的発見が目覚ましく、中国では車馬に関する関連論文が多く発表されている。本書は、最新の情報を網羅し、多くの図版を交えながら明快に整理しており、他に類書を見ない。考古学の専門家だけでなく、中国や日本の古代史・軍政史・礼制史などの幅広い分野からの要求に応える一書である。

【著者紹介】

趙海洲 (チョウカイシュウ)

1974年生まれ。1993~1997年に鄭州大学歴史系考古専攻に在籍し、学士を取得。1997~2001年に河南省済源市文物局に勤務し、1999年3月~5月には国家文物局揚州培訓中心の実施する陶磁器・玉器鑑定班で3ヵ月間研修する。2001~2007年には鄭州大学に再入学し、修士課程と博士課程を経て、2007年に同大学教員となり、2008年には鄭州大学考古学及博物館学専攻の修士大学院生指導教官に選抜される。2010年には国家田野考古領隊の資格を取得。主な研究対象は田野考古・戦国秦漢考古と中原地区建築考古である。これまでに出版した専門書は3冊、発表した論文は10本以上あり、国家社会科学基金項目2つ、国家文物局項目3つ、教育部項目1つに参加した。

岡村秀典 (オカムラヒデノリ)

1957年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程から京都大学文学部助手、九州大学文学部助教授、京都大学人文科学研究所助教授を経て、現在、同教授。文学博士。中国考古学を専攻。主な単著に『中国文明 農業と礼制の考古学』(京都大学学術出版会、2008年)、『夏王朝 中国文明の原像』(講談社学術文庫、2007年)、『中国古代王権と祭祀』(学生社、2005年)、『三角縁神獣鏡の時代』(吉川弘文館、1999年)、主な編著に『シルクロード発掘70年―雲岡石窟からガンダーラまで』(臨川書店、2008年)、『雲岡石窟』遺物篇(朋友書店、2006年)、『国家形成の比較研究』(学生社、2005年)、『世界美術大全集 東洋編第1巻 先史・殷・周』(小学館、2000年)などがある。

石谷慎 (イシタニマコト)

1988年生まれ。京都府立大学文学部を卒業し、現在、京都大学大学院文学研究科博士後期課程に在学中。中国考古学を専攻し、主に先秦時代の青銅器を研究する。主な論文に「同型鏡・同印鏡論の提言―戦国鏡の制作と流通―」(『中国考古学』第13号、2013年)などがある。

菊地大樹 (キクチヒロキ)

1976年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科共生文明学専攻博士後期課程を修了し、現在、日本学術振興会特別研究員PD(京都大学人文科学研究所)、奈良文化財研究所埋蔵文化財センター客員研究員(2011年~)、学習院大学国際研究教育機構客員研究員(2013年~)。人間・環境学博士。中国考古学・動物考古学を専攻し、主な論文に「二里頭文化における煮炊き具の変革」(『中国考古学』第4号、2004年)、「中国先秦時代におけるウマと馬車の変革」(『中国考古学』第9号、2009年)、「先秦養馬考」(奈良文化財研究所『文化財論叢』Ⅳ、2012年)などがある。