ミスター・ピーナッツ

ミスター・ピーナッツ

アダム・ロス 著
谷垣暁美 訳

発売日 2013/07/05

判型 四六変型判   ISBN 978-4-336-05675-7

ページ数 580 頁   Cコード 0097

定価 3,300円 (本体価格3,000円)

【内容紹介】

デイヴィッド・ペピンが妻を殺すことを初めて夢見たとき、
その夢想の中で自ら手を下すことはしなかった。
彼は好都合な神の御業が顕れるのを夢見た。

スティーヴン・キング、スコット・トゥロー、ミチコ・カクタニ絶賛!
「ニューヨーカー」「エコノミスト」等で年間ベストブックに選出。
メビウスの輪の上で愛と人生と悪夢は続く……
仕掛けに満ちた異色の殺人ミステリー/ラブ・ストーリー。

 結婚して13年、ゲーム・デザイナーで小説家の卵のデイヴィッド・ぺピンは妻のアリスを深く愛しながらも、妻の死をくり返し夢想せずにはいられない。そしてアリスは不可解な死を迎え、デイヴィッドは第一の容疑者となる。
アリスの謎の死を捜査する刑事二人も複雑な結婚生活の経験をもつ人間であった。ウォード・ハストロール刑事は自分の意思で寝たきりとなる妻と静かな闘いを続け、かつて医師であったサム・シェパード刑事は数十年前、妻の惨殺について有罪判決を受け、のちに無罪と認められた過去がある。
 デイヴィッド、ハストロール、シェパードの人生ドラマがヒッチコック的サスペンスを高めながらエッシャーの絵のように絡み合うなか、メビウスという名の不思議な殺し屋があらわれる。「おれが小説を終わらせてやる」そして現実とフィクションは浸食しあい、読者を迷宮に誘う――愛と憎しみ、セックス、不倫、妊娠、摂食障害、鬱病など結婚生活における諸問題をユーモラスに時にグロテスクな色彩を帯びた文章で緻密に描き、同時にエッシャー的構造の小説化を試みる、実験的かつ大胆な驚異のデビュー作!

【著者紹介】

アダム・ロス (アダムロス)

1967年ニューヨーク市生まれ。俳優である父の影響で子役として映画・テレビに出演。ホリンズ大学、ワシントン大学でクリエイティブ・ライティングを学ぶ。その後、ライター・エディターとして地元ナッシュヴィルの週刊紙や〈ニューヨーク・タイムズ・ブック・レビュー〉などで活躍し、2010年『ミスター・ピーナッツ』で作家デビュー。〈ニューヨーカー〉〈エコノミスト〉など多数の雑誌で年間ベストブックに選ばれ、十を越える国々で翻訳刊行され話題を呼ぶ。短篇集にLadies and Gentlemen(2011)がある。

谷垣暁美 (タニガキアケミ)

1955年生まれ。翻訳者。訳書に『シナプスが人格をつくる』(ジュゼフ・ルドゥー、みすず書房)、『抗うつ薬の功罪』(デイヴィッド・ヒーリー、みすず書房)、『なつかしく謎めいて』、『ギフト』、『ヴォイス』(いずれもアーシュラ・K・ル=グウィン、河出書房新社)ほか。