西尾幹二全集 5

ヒカリトダンガイ

光と断崖

最晩年のニーチェ  

西尾幹二 著

発売日 2011/10/17

判型 A5判   ISBN 978-4-336-05384-8

ページ数 576 頁   Cコード 0310

定価 6,380円 (本体価格5,800円)

シリーズ: 西尾幹二全集
ヨーロッパ留学以来の自分史、知識人との対話・対論、文学評論、そしてショーペンハウアーを読み解き、教育論を説き、自由や人生の価値を具体化し、世界や日本の歴史、戦後史観を明らかにする。新しいニーチェ研究で衝撃のデビューを果たし、戦後日本のあり方を深く、多角的に洞察してきた「知の巨人」西尾幹二の集大成。

【内容紹介】

西尾幹二全集第5巻『光と断崖―最晩年のニーチェ』が発狂寸前までのニーチェに迫り、
誰も成し得なかったニーチェの新生面を解明する。
著者の代表作品『ニーチェ』の続編。自ら翻訳し名訳とされる『この人を見よ』も所収する。
表題でもある『光と断崖』には、西尾個人のニーチェの思いが強く反映されている。
「最重要の文章」と本人が後記で吐露している。「ヨーロッパ近代の合理性は、影のない光だけで成り立っていたのでは決してない。信仰が影を隠していただけである。影も憂いもない理性など何処にも存在しない。生の概念が死の概念と裏腹なように、自然の光は物を照らせば必ず影を伴う。ただ、合理性という名の近代の光は、光の根元である暗い非合理性を傍目には見えないようにしばらく覆い隠していた。・・・ニーチェの生きた世紀末になって、にわかに新しい事態が出現したのでは必ずしもない」「『光と断崖』を解くキーの一つは「歴史」である。古代ギリシア史との格闘はニーチェの全生涯に切れ目なく随伴した課題だったが、最晩年の「あらゆる価値の価値転換」は古代イスラエル史との格闘に集約される、と西尾は見た。『アンチクリスト』をめぐる内容である。「光と断崖」はそのことを主題とした西尾の中期の大型論考である。西尾の複眼的分析が縦横無尽に読者を引き付けるであろう。 
 西尾幹二全集全22巻の最初を飾るに相応しい内容と最新研究を集成している。多くの世代のニーチェに興味がある、またこれから読んでみたいと思われる方々に強くお勧めしたい。

【著者紹介】

西尾幹二 (ニシオカンジ)

評論家。電気通信大学名誉教授。1935年東京生まれ。東京大学文学部独文科卒業。同大学院文学修士。文学博士。ドイツ文学者。ニーチェ、ショーペンハウアーの研究、翻訳をはじめ、文学、教育、社会、政治、国際問題等幅広く評論活動を行っている。最近では反原発を明確に打ち出し、人類の生命維持から訴えかける論点が注目されている。