スタニスワフ・レム・コレクション 6

タカイシロブンガクエッセイ

高い城・文学エッセイ

スタニスワフ・レム 著
沼野充義/巽孝之 訳
芝田文乃 他訳

発売日 2004/12/18

判型 四六変型判   ISBN 978-4-336-04506-5

ページ数 443 頁   Cコード 0397

定価 3,080円 (本体価格2,800円)

シリーズ: スタニスワフ・レム・コレクション
人間と地球外存在との遭遇をテーマに世界のSFの新たな地平を切り開いたポーランドの作家スタニスワフ・レム。サイバネティクス、量子力学から、進化論や言語学などの最先端の理論をふまえて構想され、SFのみならず、現代文学のあり方を模索しながら数々の傑作を世に問うてきた作家の代表作を集成し、その全貌に迫るファン待望の作品集。

【内容紹介】

第二次大戦直前のルヴフで暮らした少年時代を、情感豊かに綴った自伝に、ディック、ウェルズ、ドストエフスキー、ボルヘス、ナボコフといった作家論や、『SFと未来学』からの抄訳を収める。

【著者紹介】

スタニスワフ・レム (スタニスワフレム)

1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70 年には現代SF の全2 冊の研究書『SF と未来学』を完成。70 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『泰平ヨンの現場検証』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006 年に死去。

沼野充義 (ヌマノミツヨシ)

1954 年東京都生まれ。東京大学卒、ハーバード大学スラヴ語学文学科博士課程に学ぶ。ワルシャワ大学講師、東京大学教授を経て、現在名古屋外国語大学教授、東京大学名誉教授。著書に『徹夜の塊』三部作(『亡命文学論』『ユートピア文学論』『世界文学論』、作品社)、『W文学の世紀へ』(五柳書院)、『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(講談社)、編著書に『東欧怪談集』『ロシア怪談集』(河出文庫)、『世界は文学でできている 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義』全5巻(光文社)、訳書にスタニスワフ・レム『ソラリス』(国書刊行会およびハヤカワ文庫SF)、ヴィスワヴァ・シンボルスカ『終わりと始まり』(未知谷)、クラシツキ『ミコワイ・ドシフャトチンスキの冒険』(岩波書店)、ウラジーミル・ナボコフ『賜物』(新潮社)、『新訳 チェーホフ短篇集』(集英社)などがある。

巽孝之 (タツミタカユキ)

1955年東京都生まれ。上智大学卒、コーネル大学大学院博士課程修了(Ph.D.,1987)。慶應義塾大学名誉教授、慶應義塾ニューヨーク学院第10代学院長。日本アメリカ文学会第16代会長(2014~17年)。主な著書に『ニュー・アメリカニズム』(青土社)、『リンカーンの世紀』(青土社)、『モダニズムの惑星』(岩波書店)、『パラノイドの帝国』(大修館書店)、編訳書にダナ・ハラウェイ他『サイボーグ・フェミニズム』(トレヴィル)、ラリイ・マキャフリイ『アヴァン・ポップ』(筑摩書房)、共編書に『事典 現代のアメリカ』(大修館書店)、『脱領域・脱構築・脱半球』(小鳥遊書房)、『アメリカ文学と大統領』(南雲堂)等多数。

芝田文乃 (シバタアヤノ)

1964年、神奈川県生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。ポーランド語翻訳者、写真家。訳書にスワヴォーミル・ムロージェク『所長』『鰐の涙』(以上未知谷)、スタニスワフ・レム『地球の平和』、ステファン・グラビンスキ『動きの悪魔』『狂気の巡礼』『火の書』『不気味な物語』(以上国書刊行会)、ヴィトルト・シャブウォフスキ『踊る熊たち』『独裁者の料理人』(以上白水社)、共訳書にスタニスワフ・レム『高い城・文学エッセイ』『短篇ベスト10』『火星からの来訪者』、レシェク・コワコフスキ『ライロニア国物語』(以上国書刊行会)などがある。