世界幻想文学大系 5B

ホウロウシャメルモス

放浪者メルモス  

C・R・マチューリン 著
富山太佳夫 訳

発売日 

判型 四六判   ISBN 978-4-336-02517-3

ページ数 552 頁   

定価 2,860円 (本体価格2,600円)

シリーズ: 世界幻想文学大系
近代日本文学界の私小説的、自然主義的風土の故に、久しく貶められてきた幻想の文学が、今甦る。“進歩”と“科学”の西欧の地下にひそむ“もうひとつの西欧”が生んだ目眩めくような驚異と幻想の物語、そして恐怖と戦慄の物語、解体してゆく自我、噴出する言語の暴力……。本大系の出現によって“もうひとつの西欧”の、異端にして激越なる言語と想像力はその全貌をあらわすであろう。造本=杉浦康平+鈴木一誌

【内容紹介】

アイルランドの畸人マチューリンが残したこの作品、ロマン主義的な情念、善と悪、聖と俗との恐るべき混沌に満ちたこの作品こそ、半世紀にわたるゴシック・ロマンスの熱風の最後を飾る嵐である。

【著者紹介】

C・R・マチューリン (チャールズロバートマチューリン)

小説家、劇作家。1782年アイルランドのダブリンに生まれ、1824年ダブリンに没す。ダブリンのトリニティ・カレッジを卒業後、牧師となる。1807年、処女作『運命の復讐、モントリオ一族』を出版、ウォルター・スコットに称賛される。1816年にドゥルアリイ・レーン劇場で上演された『バートラム』は大成功をおさめた。1820年に上梓された最大の傑作『放浪者メルモス』は、彼の死後ロセッティ、ワイルド、ポー、ボードレール、バルザックらに多大な影響を与えた。

富山太佳夫 (トミヤマタカオ)

1947年鳥取県生まれ。東京大学大学院修士課程修了。現在、青山学院大学教授。専攻、英文学。主な著書に、『シャーロック・ホームズの世紀末』(1993、青土社、芸術選奨新人賞)、『ポパイの影に―漱石/ フォークナー/文化史』(1996、みすず書房)、『書物の未来へ』(2003、青土社、毎日書評賞)、『笑う大英帝国―文化としてのユーモア』(2006、岩波新書)、主な訳書に、ソンタグ『火山に恋して―ロマンス』(2001、みずず書房)、ピーター・ゲイ『快楽戦争―ブルジョワジーの経験』(2001、青土社)、ジョナサン・スウィフト『ユートピア旅行記叢書6 ガリヴァー旅行記』(2002、岩波書店)、ピーター・ペリクレス・トリフォナス『エーコとサッカー』(2004、岩波書店)などがある。