未来の文学

ケルベロスダイゴノクビ

ケルベロス第五の首

ジーン・ウルフ 著
柳下毅一郎 訳

発売日 2004/12/18

判型 四六変型判   ISBN 978-4-336-04566-9

ページ数 334 頁   Cコード 0397

定価 2,640円 (本体価格2,400円)

シリーズ: 未来の文学 (ミライノブンガク)
失われたSFを求めて――60~70年代の幻の傑作SF、その中でも本邦初紹介の作品を中心に厳選したSFファン待望の夢のコレクション。「新たな読者の視線を浴びるとき、幻の傑作たちはもはや幻ではなくなり、真の〈未来の文学〉として生まれ変わるだろう」(若島正)

【内容紹介】

〈新しい太陽の書〉の名匠:ジーン・ウルフによる伝説的最高傑作がついに登場! 三つの中篇が複雑に交錯し織りなされる謎と真実のタペストリー――魔術的技巧で綴られた連作ゴシックミステリSF。国書刊行会SF〈未来の文学〉シリーズ、第1回配本。

地球より彼方に浮かぶ双子惑星サント・クロアとサント・アンヌ。かつて住んでいた原住種族は植民した人類によって絶滅したと言い伝えられている。しかし異端の説では、何にでも姿を変える能力をもつ彼らは、逆に人類を皆殺しにして人間の形となり人間として生き続けているという……〈名士の館に生まれた少年の回想〉〈人類学者が採集した惑星の民話〉〈尋問を受け続ける囚人の記録〉という三つの中篇が複雑に交錯し、やがて形作られる一つの大きな物語と立ちのぼる魔法的瞬間――該博な知識に支えられ、濃密な文章と深い洞察に充ち満ちた、〈もっとも重要なSF作家〉ジーン・ウルフの最高傑作。


〈未来の文学〉に寄せて
若島 正

 50年代が俗にSFの黄金時代と呼ばれる古典期であるとするなら、それに対して60年代から70年代はいわばSFのモダニズム期である。黄金時代にはほとんどハリウッド映画的なアメリカの産物であったSFが、英国のニュー・ウェーヴを端緒にして、
その波動に共振する形で、英米の両岸で新しい傾向の作品を生み出していった。その多くは、ちょうどモダニズム文学がそうだったように、当時には前衛的で難解な作品として敬遠されることもあった。
 しかし、新世紀に入った今、そうした作品群を楽しめる時期がようやく到来したのではなかろうか。<未来の文学>シリーズは、けっして過去のSFの発掘ではない。時代が、そしてわたしたち読者が、ここに集められた伝説的な作品群にようやく追い
ついたのである。新たな読者の視線を浴びるとき、幻の傑作たちはもはや幻ではなくなり、真の「未来の文学」として生まれ変わるだろう。




【著者紹介】

ジーン・ウルフ (ジーンウルフ)

1931年、アメリカ・ニューヨーク生まれ。兵役に従事後、ヒューストン大学の機械工学科を卒業。1972年から「Plant Engineering」誌の編集に携わり、1984年にフルタイムの作家業に専心するまで勤務。1965年、短篇「The Dead Man」でデビュー。以後、「デス博士の島その他の物語」(1970)「アメリカの七夜」(1978)などの傑作中短篇を次々と発表、70年代最重要・最高のSF作家として活躍する。その華麗な文体、完璧に構築され尽くした物語構成は定評がある。80年代に入り〈新しい太陽の書〉シリーズ(全5部作)を発表、80年代において最も重要なSFファンタジイと賞される。現在まで20冊を越える長篇・10冊以上の短篇集を刊行している。

柳下毅一郎 (ヤナシタキイチロウ)

1963年大阪府生まれ。映画評論家・翻訳家。雑誌『宝島』の編集者を経てフリー。ガース柳下の筆名で『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』(洋泉社/文春文庫)を町山智浩と共著。著書『興行師たちの映画史 エクスプロイテーション・フィルム全史』(青土社)、『新世紀読書大全 書評1990-2010』(洋泉社)など多数。訳書にR・A・ラファティ『第四の館』(国書刊行会)、アラン・ムーア/J・H・ウィリアムズⅢ『プロメテア1~3』(小学館集英社プロダクション)、監訳書に〈J・G・バラード短編全集〉(東京創元社)など。