各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

占星術研究家鏡リュウジ

『黄金の夜明け』(世界魔術大全1)

江口之隆/亀井勝行 著        

メイザース、フォーチュン、ウェイト、クロウリー……それまで逸話的にしか知らなかった英国の魔術世界が生き生きとしたリアリティをもって浮かび上がってきた(……)画期的だったのは、実証的なアプローチをもって近代魔術を論じた点にある。(……)可能な限りの資料、史料を活用しつつ、一種のインテレクチュアル・ヒストリーとして近代の「魔術結社」を論じるのである。(……)先駆性は評価してもしきれるものではない。

《魔女たちの世紀》(全6巻)

秋端勉 監修   

国書刊行会との出会いは一九八三年に遡る。高校に上がったばかりのオカルト少年が《世界魔法大全》という蠱惑的な叢書の新聞広告を目にしたときの興奮をご想像されたい。(……)その後、その姉妹叢書とも言える《魔女たちの世紀》に自分が関わらせていただくようになるとは当時の自分としては全く想像の外であった。」

『オカルトタロットの歴史 1870-1970年』

ロナルド・デッカー/マイケル・ダメット 著 今野喜和人 訳             

今年出た『オカルトタロットの歴史』もまたこうした近年のオカルト、秘教研究の系譜の上にある。これもまたこのジャンルに関心あるものには必携である。ほかにもこうしたジャンルの本の紹介は増えているが、我が国における客観的な近代魔術研究の夜明けは、まさに国書刊行会の『黄金の夜明け』が告げたのである。