各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

作家酉島伝法

『山尾悠子作品集成』

山尾悠子 著                 

玉虫色の言葉で緊密に構築された動く幻想画のごとき作品の数々。柳川貴代さんによる、目にも手にも余韻の残る装幀のすばらしさも相まって、繰り返し頁を開いてはその汲み尽くせなさに驚かされている。

『ケルベロス第五の首』(未来の文学)

ジーン・ウルフ 著 柳下毅一郎 訳               

テクストの背後に広がる物語の奥深さに驚嘆し、SF観を塗り変えられた一冊。この本がなければSFを書いてなかったかもしれない。本書から始まる《未来の文学》シリーズに収まるような作品をずっと目指してきた。

『定本 何かが空を飛んでいる』

稲生平太郎 著                 

UFOやオカルトなどの怪しげとされるものに対して、正否はおき膨大な文献にあたってこちらの先入観を覆しながら論じていく様がともかく刺激的で面白く、事物との向き合い方には目を啓かされた。