各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

SF書評家橋本輝幸

《バベルの図書館》(全30巻)

ホルヘ・ルイス・ボルヘス 編纂・序文

ボルヘス編《バベルの図書館》シリーズは、海外の文人の選による世界文学全集というきわめて珍しいケースである。幻想的、奇妙な味の短編が多く収録されている点でも特異な全集だ。私個人にとっては十二、三歳のころに初めて(それと知らず)国書刊行会の本に触れるきっかけになった思い出の本だ。薄く細長い造本も特徴的である。

《書物の王国》(全20巻)

須永朝彦/東雅夫/南條竹則/服部正/高原英理 他編

《書物の王国》は全20巻の叢書で『架空の町』『月』『鉱物』等々、テーマ別に古今東西の名作短編が収集されている。もちろん私も、テーマに惹かれて手に取った。編者は巻によって異なるが東雅夫、須永朝彦、石堂藍といった季刊『幻想文学』にゆかりのある方が多い。耽美で硬質なイメージだが『義経』や『怪獣』の巻があるのもインパクト大。

《世界幻想文学大系》(全45巻)

紀田順一郎/荒俣宏 責任編集

紀田順一郎・荒俣宏責任編集《世界幻想文学大系》は45巻の大シリーズ。この企画がなければ日本で読めなかったのではないかという古典も多く、まさに代表的名叢書!