各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

翻訳家/英文学者植松靖夫

『世界ミステリ作家事典 本格派篇』

森英俊 編著                 

綺羅、星のごとき鴻業の中から「三冊」を、といふ無理難題に立ち向かふには、まづ誰も異論を唱へるはずのない、森英俊編著『世界ミステリ作家事典 本格派篇』を最前線におかう。日本語で読めるあらゆる事典・辞典群の頂点に君臨し続けてゐる必携書である。

『おどけ草紙』(クラテール叢書7)

オノレ・ド・バルザック 著 神西清 訳               

次に神西清訳のバルザック『おどけ草紙』。大学一年生の六月以降、原則として「翻訳書」を読書の対象から外してゐるが、神西清の翻訳だけは別格であり、例外だ。

『骸骨 ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚』

ジェローム・K・ジェローム 著 中野善夫 訳               

最後に最近の刊行になるがジェローム・K・ジェローム『骸骨』。丸谷才一とジェロームを話題にしたことがあるが、こんな名品は視野にも入つてゐなかつた。