各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

小説家木下古栗

『ロマン』(Ⅰ・Ⅱ)(文学の冒険)

ウラジーミル・ソローキン 著 望月哲男 訳               

『ロマン』はかなり退屈な読書を強いられた記憶がある。肝心の物語が面白くなく、登場人物にも魅力が希薄だった。しかしそれを差し引いても、この小説には明確な「作者の意図」がある。「作者の意図」とは、どのような創作手法や文章技術を用いるか、それによってどのような特徴や効果が客観的に表現されることを目指すかという、創作や文学に特化した作意のことだ(……)。

『トマス・ド・クインシー著作集1』

トマス・ド・クインシー 著 野島秀勝/鈴木聡/小池銈 訳    

クインシーは「藝術の一分野として見た殺人」の題名に惹かれて読んだが、これも面白くはなかった。そんなジャケ買いみたいな体験も今では貴重だ。

《ウッドハウス・コレクション》(全14冊)

P・G・ウッドハウス 著 森村たまき 訳               

ウッドハウスは亡き祖父母の家の本棚で子供の頃、原書を見つけた。実はまだ一冊も読んでいないのだが、いつか読もうと思っている。