各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

宗教学者/東京大学名誉教授島薗進

『明治聖徳論の研究 明治神宮の神学』

佐藤一伯 著                 

『明治聖徳論の研究』は明治以後の日本人が天皇を深く崇敬するようになったプロセスを、「聖徳論」の歴史を通して分かりやすく示してくれているすぐれた研究書だ。数代前の日本人をもっとよく理解する手がかりが得られるだろう。

『真理のことばの物語集 ダンマパダ・アッタヴァンナナー』(全4巻)

松村淳子 訳                 

仏教はさまざまな物語を通して伝えられてきた。『真理のことばの物語集』は、上座仏教の教えを伝える物語を香り高い日本語訳にしてくれている。時と場所の隔たりを感じさせず、あらためて仏法とは何かを考えさせてくれる。全巻を通して読むのはたいへんだが、折にふれて親しんでほしい物語群だ。

『宗教の意味と終極』(シリーズ宗教学再考8)

ウィルフレッド・キャントウェル・スミス 著 保呂篤彦/山田庄太郎 訳 八木久美子 解説           

『宗教の意味と終極』は、「宗教」という語の使用法で苦労している現代人に、その西洋における用法の歴史を教えてくれる不朽の名著であり、今も最良のガイドブックの一つであり続けている。「宗教とは何か」を考える上でも欠かせない、宗教学の古典である。