各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

軍事評論家岡部いさく

『奇跡なす者たち』(未来の文学)

ジャック・ヴァンス 著 浅倉久志 編訳 酒井昭伸 訳             

まずはジャック・ヴァンスの中/短編集『奇跡なす者たち』。「竜を駆る種族」をSFマガジンで読んで以来、ジャック・ヴァンスのファンで、この『奇跡なす者たち』はジャック・ヴァンスの楽しさが詰まっている。SF好きの本性を直撃した一冊だ。

『ドリフトグラス』(未来の文学)

サミュエル・R・ディレイニー 著 浅倉久志/伊藤典夫/小野田和子/酒井昭伸/深町眞理子 訳       

次はサミュエル・R・ディレイニーの『ドリフトグラス』。ニューウェーブSFだったらこれでしょ、と見栄を張るつもりで読んだら好きになっていたディレイニーの中/短編集。今でもSFを楽しめるのはディレイニーを読んだおかげじゃないかな。

『V.』(上・下)(ゴシック叢書)

トマス・ピンチョン 著 三宅卓雄/伊藤貞基/中川ゆきこ/広瀬英一/中村紘一 訳             

トマス・ピンチョンの『V.』。若いときに見栄と自意識で読んだはずが、この小説のせいで世界観が変わっちゃった。あ、ところで『V.』はSFなのかな? そう、国書刊行会のSFを読んだときは見栄が半分だったんだけど、振り返ってみれば、これを読んでいなかったらこうはなっていなかったろうなとも思う。まあ、こうなってしまったのが良いか悪いかはまた別の問題だし、それについては国書刊行会に全く責任はないのだが。