各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

国立映画アーカイブ主任研究員/フィルム・アーキビスト岡田秀則

『スクリプターはストリッパーではありません』

白鳥あかね 著                 

本業となった映画分野では何よりサドゥール『世界映画全史』(全12巻)の印象が決定的だったし、『日本映画人改名・別称事典』もアーカイブ実務に激しく役立つ一冊だったが、やはり最大の敬意を払いたいのは2010年代から続く映画書の快進撃だ。 (……)日本映画関連では『映画の奈落』や『大島渚全作品秘蔵資料集成』にも腰を抜かしたが、やはり『スクリプターはストリッパーではありません』はページをめくるごとに幾多の映画人の体温が感じられる名著だった。

『サイレント映画の黄金時代』

ケヴィン・ブラウンロウ 著 宮本高晴 訳               

本業となった映画分野では何よりサドゥール『世界映画全史』(全12巻)の印象が決定的だったし、『日本映画人改名・別称事典』もアーカイブ実務に激しく役立つ一冊だったが、やはり最大の敬意を払いたいのは2010年代から続く映画書の快進撃だ。 大きく、重く、読みごたえのあり過ぎるトゥーマッチの美学。使い方によっては人を殴打できるという余計な機能を備えた本さえある。(……)『サイレント映画の黄金時代』は、草創期のハリウッドを製作現場から裏方の貢献まで丸ごと描き切っており、産業の急速な成長に人々が踊らされている高揚感がたまらない。

『ジョージ・キューカー、映画を語る』

ギャビン ・ランバート 著 ロバート・トラクテンバーグ 編 宮本高晴 訳             

本業となった映画分野では何よりサドゥール『世界映画全史』(全12巻)の印象が決定的だったし、『日本映画人改名・別称事典』もアーカイブ実務に激しく役立つ一冊だったが、やはり最大の敬意を払いたいのは2010年代から続く映画書の快進撃だ。 大きく、重く、読みごたえのあり過ぎるトゥーマッチの美学。使い方によっては人を殴打できるという余計な機能を備えた本さえある。(……)ジョージ・キューカーのインタビュー本は、各シーンを穿つような質問が、創造の秘密を超えて時に監督の苦悩まで掘り起こしている。