各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

翻訳者劉佳寧

『歪み真珠』

山尾悠子 著                 

『歪み真珠』はさまざまな別世界を繋ぐ通底器、来るべき大きな物語のカタログのような短編集。『山の人魚と虚ろの王』の女主人公トマジの幼い頃の物語が「ドロテアの首と銀の皿」に綴られた。この愛しい物語が世界文学の一員となり読み継がれることを望みたいものだ。

『史記列伝抄』

宮崎市定 訳 礪波護 編               

『史記列伝抄』は『史記』の従来の晦渋なイメージを一掃したような、時に黒いユーモアさえ感じさせる瑞々しい名訳。歴史に埋もれた偶語家の存在に焦点を当てた論考も興趣が尽きない。

『黄色い笑い/悪意』(マッコルラン・コレクション)

ピエール・マッコルラン 著 中村佳子/永田千奈 訳             

マッコルランの小説は、記憶の中の冒険小説や怪談に息づく美しい怪物たちを思い出させる懐かしい一冊。