各界著名人による各界著名人による私が選ぶ国書刊行会の3冊

文筆家佐々木敦

『遊戯の終り』(ラテンアメリカ文学叢書5)

フリオ・コルタサル 著 木村榮一 訳               

前衛文学に目覚めたばかりのローティーンの時に出会った《ラテンアメリカ文学叢書》は衝撃的だったが、コルタサルという耳慣れない名前の作家の短編集にはとりわけ強く惹かれた。「続いている公園」は何度読んでも怖い。《世界幻想文学大系》の『秘密の武器』も少し後に図書館で借りたはず。

『V.』(上・下)(ゴシック叢書)

トマス・ピンチョン 著 三宅卓雄/伊藤貞基/中川ゆきこ/広瀬英一/中村紘一 訳             

ピンチョンの『V.』初訳はよくわからんところがありつつも夢中になって読んだ。同じシリーズではジョン・バース『やぎ少年ジャイルズ』も忘れがたい。これがポストモダンか!と勝手に納得していた。

『ダールグレン』(Ⅰ・Ⅱ)(未来の文学)

サミュエル・R・ディレイニー 著 大久保譲 訳               

「やたら長い現代文学」というものを知った頃。そしてやはりやたら長い、長すぎる『ダールグレン』は噂のみ知っていてまさか訳されるとは!と感激して一気読みした(この時はもうすっかり大人でした)。