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13 怪剣士・丹下左膳あらわる!第一章[上] 林不忘・著「新版大岡政談」第5回挿絵『大阪毎日新聞』昭和2年10月20日掲載?片袖千切れた丹下左膳は、大松の幹を背に蹌よ ろめ踉き立って、左手に取った乾雲丸尺三寸に、今しも血震いをくれているところ。別れれば必ず血を見るという妖刀が、すでに血を味ったのだ。松の根方、左膳の裾に絡んで、黒い影が蹲っているのは、左膳の片袖を頭からすっぽりと被せられた弥生の姿であった。[下] 林不忘・著「新版大岡政談」第155回挿絵『大阪毎日新聞』昭和3年4月13日掲載?深夜、丹下左膳、月輪軍之助、各務房之丞、山東平七郎、轟玄八、岡崎兵衛、藤堂粂三郎らが諏訪栄三郎に奇襲をしかけるため、夜のうちに本所の化物屋敷を出た。料亭で酒を酌み交しほろ酔い気分で出発しようとした所、待ちかまえていた諏訪栄三郎が一人斬り捨てた。ガッ! と音を発して玄八の刀を外らした栄三郎、すかさずつけ入ってヒタヒタと鍔を押し返している。