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15 怪剣士・丹下左膳あらわる!第一章林不忘・著「新版大岡政談」第54回挿絵『大阪毎日新聞』昭和2年12月16日掲載?とおめきざま、紫電低く走って栄三郎の膝へ来た。跳び退いた栄三郎、横に流れた乾雲がバリバリッ! と音を立てて障子の桟を切り破ったと見るや、長光を宙になびかせて左膳の頭上に突進した。が、割いたのは敷蒲団と畳の一部。林不忘・著「新版大岡政談」第193回挿絵『大阪毎日新聞』昭和3年5月26日掲載?『待てッ! もう投げる物ァ無えのかッ!』左膳の罵声がそのあとを追うと、豆太郎は振り向いた。哀れみを乞うような、笑いかけるがごとき表情だった。しかし、つぎの刹那、かれは頭から、滝のような血を吹いて真赤になった。追いすがった左膳が、冷い微笑とともに一太刀下ろしたのである。林不忘・著「新版大岡政談」第196回挿絵『大阪毎日新聞』昭和3年5月30日掲載?江戸を出て九日目の夕ぐれ、大雨と風により船はみるみる金華山沖へ流されていった。そして真夜中頃、大きな音を立て、左膳と栄三郎の船が衝突し、栄三郎と泰軒は左膳の船へ乗り込んだ。月輪三士は斬られ、かなわないと思った左膳は夜泣きの大小の刀を海へ投げ捨てた。しかし、すぐさま栄三郎は飛込み、二刀を拾い上げて船へ戻った。左膳は船板をいかだのようにして栄三郎から逃がれた。はるか暗い浪のあいだに、船板をいかだに組んで、丹下左膳の長身が、生けるとも死んでともなく、遠く遠く漂い去りつつあった。