yumeno_soujyuuhou

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覚めてしまうのではないかと)控えの間と寝室の間の扉を閉☆めたのは余計なことだとすぐに気がついて、あらためて実験を再開したが、その次の日からつい最近まで、この音楽はいつも夢で思い出を蘇らせ、思考=夢とな....

覚めてしまうのではないかと)控えの間と寝室の間の扉を閉☆めたのは余計なことだとすぐに気がついて、あらためて実験を再開したが、その次の日からつい最近まで、この音楽はいつも夢で思い出を蘇らせ、思考=夢となったのである。しかも、注目すべきは、それが、ある人物の思い出であって、記憶の中で音楽と堅固に結び付けられた絵のようなものではなかったということである。この音楽で現れた女性は、いつも舞踏会にいるとは限らず、舞踏衣装を着ているわけでもなかった。つねに新たな第二次思考(派生夢)が、夢の舞台のさまざまな事件につぎつぎと彼女を巻き込むのであった。オルゴールのもう一つの曲も、最初の曲に劣らぬ結果を生みだした。私は八曲まで続けて実験した。すると、そこからは、匂いを増やした時と同じ混乱が生じたのである。私は、またもや、人間の身体器官が関係するものは必ず限界があることを知り、立ち止まらざるを得なかったのである。しかし、この種の実験で嗅覚や聴覚がモニター役として最適なら、ほかの感覚を媒介としても同様の結果が得られるはずである。その方法が得られれば、誰でも自分の素質や独創性によって紋切り型の夢を変えることができるだろう。私がノートに書き留めた六十三例の中から決定的な二つを引用しておこう。一つは、触覚に関したものであり、もう一つは味覚に関わることである。《私は右手の親指に軽い怪我をしていて、書きものをするのも難儀で、羽根ペンを持っただけで痛みを覚えるほどだった。眠っていると、手が擦れて指が痛み、目が覚めたことが、第三部第七章