yumeno_soujyuuhou

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だった。私はこの状況を利用して、新たな実験を計画した。まず、夢に見てみたい二人の女性と、著しく独創的なワルツ二曲をひそかに選び、私が二人の女性のいずれかと踊る度に、それぞれの女性のために決めておいた曲....

だった。私はこの状況を利用して、新たな実験を計画した。まず、夢に見てみたい二人の女性と、著しく独創的なワルツ二曲をひそかに選び、私が二人の女性のいずれかと踊る度に、それぞれの女性のために決めておいた曲を(全く私の意図を指揮者には気づかせずに)必ず演奏するように楽団の指揮者と示し合わせておいた。次に、私はオルゴール職人のいるコルベール街に行き、問題の二曲が流れるオルゴールを注文した。私の注文したオルゴールが出来上がるまでの間に、記憶に刻まれるように準備された曲が演奏される。踊りの相手の曲はそれぞれ、あらかじめ決められていたので、いつでも適当なときに楽団に指示できるようになっていたが、一方の相手と踊るときは必ず決まった曲を踊り、もう一方の相手とは絶対にその曲では踊らないようにした。私がそうした手法にこだわったのは、実験が成功するかどうかはこの手法次第だったからである。私が仕組んだ偶然の一致は、私の実験に知らずに加わる彼女たちに気づかれてはならないが、私は断固として実験を続け、止めることは考えもしなかったのである。舞踏の季節が終わり、音楽も十分記憶に刷り込まれ、オルゴールも出来上がった。私は、目覚まし時計を買ってきて、セットされた文字盤の時刻を針が指したとき、目覚ましの音は鳴らずにオルゴールが鳴るように改良した。ある晩、私は二つの曲の一曲を選び、実験にふさわしい早朝の時間に針を合わせた。それから、私は、その時計を控えの間に置いて、いつもの時間にベッドに入った。この最初の晩は、まったく成果がなかった。出来事を忠実に記録する者として、そう告白せざるをえないのである。しかし、(やかましくて目が