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ボウエン・コレクション
(全3巻)

ウルフ、マードック、レッシングに並び、
20世紀イギリスを代表する女性作家ボウエンの手によって
〈少女という奇妙な生き物〉に仕掛けられた謎を
あなたはいくつ解くことができますか?

本邦初訳の傑作長篇三作、精選のコレクション


ボウエンの作品は辛らつな真珠だ。淡々と進む筆致のなかに、謎が、真実が、詩が
仕掛けられてある。人が殺されたりもするので、その作品は、時にミステリーとい
う名前で括られるが、真の「謎」は、事件のなかでなく、文章そのもののなかにあ
るといったほうがいいだろう。人間を見つめる目は、容赦がないが、それでいて作
品全体は、柔らかな光にくるまれている。心底、大人の文学だなと思っていると、
英国少女小説の面影が、ふっとわいて出たり。
「いま、いったい、何が起きているのか、いや、すでに何かが起きたのだろうか?」
安易な解答は伏せられている。読者は自立して、全感覚を使い、小説世界を探索し
なければならない。ボウエンを読むことの、大きな快楽と孤独がそこにある。

小池昌代

 

 

















*詳細リーフレット↑あります。
ご請求はinfo@kokusho.co.jpまで

エヴァ・トラウト

無口で大柄、ジャガーを乗り回す女ヒロイン、エヴァ・トラウト。母親はエヴァを産むとすぐに恋人と駆け落ちして飛行機事故で亡くなり、男の愛人を連れていた父親はのちに自殺し、莫大な遺産をエヴァに残す。巨万の富を手にしたエヴァは、イギリスを飛び出して渡米し、降誕節の夜、不正に子どもを手に入れる。しかしそうして手にした男児は耳が聞こえなかった――両親に見捨てられ、ことばを信じず、一度として泣いたことがないエヴァの愛をめぐるクロニクル。

第1回配本 2008年2月刊行予定 ISBN978-4-336-04985-8 2625円(税込)

 

リトル・ガールズ 

イギリス・ケント州、セント・アガサ女学校に通う三人の少女たち、ダイアナ、シーラ、クレア。好きな詩を暗唱し、水泳とダンスにはげみ、先生は無視してブランコを揺らす。しかし、女学校という楽園は、1914年7月に勃発した第一次大戦とともに終わりをつげ、少女たちは三者三様の人生を歩みはじめねばならなかった。〈リトル・ガールズ〉が〈オールド・ガールズ〉になり、かつての女学校時代に埋めたタイム・カプセルを掘り出したとき、その箱からでてきたものは何だったのか。

第2回配本 2008年8月刊行予定 ISBN978-4-336-04986-5 2730円(税込)

 

愛の世界

愛の世界 A World of Love
第一次大戦で引き裂かれた恋人たちの物語。リリアは第一次大戦の出征で婚約者のガイを亡くす。彼女はのちにほかの男と結婚し、娘のジェインを産む。時は流れ、第二次大戦も終わり、物語のヒロインはリリアからジェインへ。ジェインは訪れた母の生まれ故郷で、古い手紙の束を発見する。手紙に書かれたイニシャルはG、ガイの手紙だった。その手紙から、過去のある真実が明らかになり――。

第3回配本 ISBN978-4-336-04987-2 2009年1月刊行予定




エリザベス・ボウエンのこと    太田良子

 エリザベス・ボウエンは、『ガリヴァー旅行記』のスウィフトや『ゴドーを待ちながら』のベケットと同じくアイルランドに生まれたイギリス人、すなわち文藝の才に長じたアングロ・アイリッシュの作家である。アイルランドにある父祖伝来のボウエンズ・コートのホステスとして、ヴァジニア・ウルフなど多くの友人を招いてお茶会を開き、母国イギリスでは大戦の暗雲の下で学校生活を送り、さらにドイツ空軍の空襲で自宅を破壊される日々を過ごし、1973年に73歳で他界するまでに小説10篇と約100の短編を書いた。カトリックとプロテスタントという名分で反目した二つの国の相克、二度の大戦によって焦土と化した20世紀、ボウエンが描くイノセントな少女たちや、一見優雅な男女が集うカントリー・ハウスは、この二つの現実を映しながら、それでも敗北しない人間がいることを伝えている。失われていくものに宿る勇気、崩壊するものだけが持つ美など、目に見えない価値を忘れがたい映像に仕上げる手腕において、ボウエンの右に出る作家はいない。


エリザベス・ボウエン Elizabeth Bowen (1899 〜 1973)

17世紀以来のアングロ・アイリッシュ地主階級ボウエン一族の末裔として、アイルランドのダブリンで生まれ、その後まもなくイギリスへ渡る。ヴァジニア・ウルフ、グレアム・グリーン等と親交をもち、文芸評論をはじめ、旅行記、児童書、評論等も手掛けた。最後の長篇『エヴァ・トラウト』は第2回ブッカー賞(現マン・ブッカー賞)の候補となる。邦訳の長篇に、『日ざかり』(吉田健一訳)、『パリの家』(阿部知二・良雄訳)がある。

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