シジンハスベテシュクメイデアル

詩人はすべて宿命である

萩原朔太郎による詩のレッスン  

萩原朔太郎 著
安智史/栗原飛宇馬 編

発売日 2022/10/07

判型 四六判   ISBN 978-4-336-07393-8

ページ数 302 頁   Cコード 0093

定価 3,520円 (本体価格3,200円)

【内容紹介】

近代日本語詩を代表する詩人萩原朔太郎による詩歌の鑑賞、朔太郎が愛した詩人たちに関するエッセイと、『月に吠える』から『宿命』にいたる自作解説等をあつめた、「萩原朔太郎による詩の入門」と「萩原朔太郎の詩の入門」書。
柔軟で鋭利な批評精神とともに、同時代の詩と詩人と、日本語に向き合い、その特質や魅力を語りかける言葉を綴りつづけた萩原朔太郎は、近代の詩と詩人にかんする最良の案内人でもある。

本書は「詩の鑑賞・詩の理論・ことば」「朔太郎の評価した詩人たち」「自作詩・詩集について」の三部構成からなる。
第1部「詩の鑑賞・詩の理論・ことば」は、山村暮鳥、北原白秋、福士幸次郎、室生犀星、高村光太郎、佐藤惣之助、黄瀛、北川冬彦、西脇順三郎、三好達治など、朔太郎の注目した詩人たちの詩篇の鑑賞を中心に、ユニークな日本語論と「詩の作り方」に仮託した詩人論を収録。
第2部「朔太郎の評価した詩人たち」は、大手拓次、萩原恭次郎、三好達治、丸山薫、伊東静雄、中原中也、立原道造、西脇順三郎など、朔太郎と直接交流のあった詩人たちについて論じたエッセイを収録。
第3部「自作詩・詩集について」は、第一詩集『月に吠える』から晩年の『宿命』にいたる自己の詩集についてのエッセイや、自作解説・鑑賞を収録。とくに「叙情詩物語」は、それ自体が歌物語的な散文詩となっている。

朔太郎は、生涯をかけて日本語・文学・文化とその歴史の問題と対峙しつづけた詩人であった。日本の近現代文学、文化と向き合うとき、私たちは繰り返し、朔太郎の言葉に立ち返らずにはいられない。
巻末に、読者の理解の助けのため、編者の解説と解題、朔太郎の生前著作一覧を付した。

【著者紹介】

萩原朔太郎 (ハギワラサクタロウ)

1886(明治19)年11月1日群馬県前橋市生まれ。父は開業医。旧制前橋中学時代より短歌で活躍。旧制第五、第六高等学校いずれも中退。上京し慶応大学予科に入学するが半年で退学。マンドリン、ギターを愛好し音楽家を志ざす。挫折し前橋に帰郷した1913年、北原白秋主宰の詩歌誌『朱欒』で詩壇デビュー。同誌の新進詩人・室生犀星と生涯にわたる親交を結ぶ。山村暮鳥を加え人魚詩社を結成、機関誌『卓上噴水』を発行。1916年、犀星と詩誌『感情』を創刊。1917年第1詩集『月に吠える』を刊行し、詩壇における地位を確立する。1925年上京し、東京に定住。詩作のみならずアフォリズム、詩論、古典詩歌論、エッセイ、文明評論、小説など多方面で活躍し、詩人批評家の先駆者となった。1942年5月11日没。

安智史 (ヤスサトシ)

1964年茨城生まれ。立教大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。愛知大学短期大学部教授。著書に『萩原朔太郎というメディア ひき裂かれる近代/詩人』(森話社2008年)、共著に『和歌をひらく 第5巻 帝国の和歌』(岩波書店2006年)、共編著に『新編丸山薫全集 第6巻』(角川学芸出版2009年)、論文に、萩原朔太郎の近代日本への問いかけを探求した「〈郊外〉文学者・萩原朔太郎」(『日本文学』2014 年2月号)、「萩原朔太郎『月に吠える』と戦争」(『日本近代文学』第98集)等がある。萩原朔太郎研究会幹事、四季派学会理事。

栗原飛宇馬 (クリハラヒウマ)

1973年東京生まれ。日本大学大学院芸術学研究科博士後期課程芸術専攻修了。博士(芸術学)。デジタルハリウッド大学非常勤講師。論文に、萩原朔太郎の『詩の原理』成立過程における認識論的思索を検証した「萩原朔太郎研究・思索の軌跡―「未発表原稿」を視座として」(『江古田文学』59号)、手品趣味と文学の関係を考察した「萩原朔太郎の愛した〈不思議〉―手品・乱歩・『詩の原理』」(『SAKU』3号)、「萩原朔太郎の手品と詩学―『詩の原理』の根底にあるもの」(『詩と思想』2018年9月号)等がある。萩原朔太郎研究会幹事、四季派学会理事。