カイイヲヨム・カク

怪異を読む・書く

木越治/勝又基 編

発売日 2018/11/21

判型 A5判   ISBN 978-4-336-06320-5

ページ数 488 頁   Cコード 0095

定価 6,380円 (本体価格5,800円)

【内容紹介】

【画奇的な切り口による《怪異》の表現学!】

秋成や庭鐘、西鶴、綾足をはじめとして、漱石、鏡花、秋聲、そしてポオやボルヘス、ラヴクラフトなどを題材に、気鋭の近世・近代文学研究者たちが、《怪異》がいかに読まれ書かれてきたかを、これまでにない視点から解き明かす!

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――怪異は作者だけのものではない。「読む」という行為を通じて、多くの人々に開かれたものとなる。現代の我々が持つ印象とは別の怖さを、当時の読み手は感じていたかもしれない。また、優れた読み手によって、数百年にわたって埋もれていた作品の真の姿が露わになることもあるだろう。文学作品とも言いがたい断片と断片とが、読み手によって紡ぎ合わされることによって、怪異の容貌を浮かび上がらせれば、それはもう、読み手の創作と言えるかもしれない。
 いっぽう怪異を「書く」とは、近世、近代においてどのような営みだったのか。怪談の名手の奥義は奈辺に見定められ、どのように説明できるか。また作者は、中国や日本の古典や伝説を踏まえて、いかなる独自の怪異を作り出したのだろうか。
 こうした怪異をめぐる言葉のさまざまな可能性を求めて、近世文学、近代文学の研究者たちが論文の形で挑んだ。
(あとがきより)

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訳者あとがきの一部をこちらでご覧いただけます。
書評サイト「ALL REVIEWS」 https://allreviews.jp/review/2778

【著者紹介】

木越治 (キゴシオサム)

一九四八年石川県生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、金沢大学名誉教授。専攻、日本古典文学。
上田秋成・井原西鶴等の近世小説に関する論文を発表するほか、落語・講談などの話芸の研究、また、明治期の国文学者及び美術史家藤岡作太郎に関する研究に従事。
著書に『秋成論』(ぺりかん社、一九九五年)、『講談と評弾』(八木書店、二〇一〇年)、編著に『新日本古典文学大系 本朝水滸伝 紀行 三野日記 折々草』(岩波書店、一九九二年、共編)、『叢書江戸文庫 浮世草子怪談集』(国書刊行会、一九九四年)、『秋成文学の生成』(森話社、二〇〇八年、共編)、『上田秋成研究事典』(笠間書院、二〇一六年)、など。

勝又基 (カツマタモトイ)

一九七〇年静岡県生まれ。一九九三年金沢大学文学部卒業、二〇〇一年九州大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。明星大学日本文化学部専任講師、同准教授、ハーバード大学ライシャワー日本研究所客員研究員を経て、現在、明星大学人文学部教授。
日本の孝子伝、落語・講談、江戸時代の写本文化、江戸から現代にかけての昔話絵本などを専門とする。
著書に『落語・講談に見る「親孝行」』(NHK出版、二〇一三年)、『孝子をたずねる旅』(三弥井書店、二〇一五年)、『親孝行の江戸文化』(笠間書院、二〇一七年)など。