1. トップページ > 
  2. 日本文学 > 
  3. 研究・評論 > 
  4. 夏目漱石 眼は識る東西の字

ナツメソウセキメハシルトウザイノジ

夏目漱石 眼は識る東西の字

発売日 2013/01

判型 A5変形判   ISBN 978-4-336-05563-7

ページ数 522 頁   Cコード 0095

定価 4,104円 (本体価格3,800円)

内容紹介

西欧の文学・美術の潮流に身をおいた外国体験と、ゆたかな東洋文化の素養のなかで漱石文学は成立した。だがその全体像についてはいまだ解き明かされていない部分が多い。比較文化の視野のなかで作品を味わいつつ、新たな漱石像を構築する斬新な試み。

――近代日本の運命を、世界のなかで見据えた「国民作家」漱石。
日本の行く末を指し示し、世に問うたそのテーマは、21世紀の私たちにも語りかける。
第26回和辻哲郎文化賞受賞!

著者紹介

池田美紀子 (イケダミキコ)

東京に生まれる。東京大学大学院比較文学比較文化博士課程修了。ハーヴァード大学客員研究員、慶應義塾大学講師、東京女子大学助教授、ライデン大学東洋文化研究所客員教授、国立台湾大学客員教授を歴任。

目次

序章 眼は職る東西の字
 1 「此方向転換は運命なり」
 2 漢学から洋学へ
 3 ロンドンの漱石
 4 漱石と鴎外
 5 批評家の誕生――『三四郎』と『それから』の文明批評

一章 漱石と世紀末の女性たち――ヒロインの肖像 
 1 一九〇〇年ロンドンの「潮流」
 2 「残酷な女神(ペリラス・ゴッデス)」の誕生
 3 「囚はれたる文芸」――象徴主義の波
 4 『幻影の盾』、「シャロットの女」――〈運命の鏡〉とメデューサ幻想
 5 梳る女の肖像――藤尾とリリス
 6 美禰子――〈宿命の女〉の姿勢

二章 漱石の「英詩」から『薤露行』へ
 1 かくれ家からの使者――〈小鳥〉と〈女〉
 2 漱石の英詩
 3 朝貌(あさがお)の女
 4 プリムローズprimroseEは「桜草」か
 5 「すみれ」――死者をしのぶ
 6 未了の恋
 7 愛、「紫」に溶けがたく――『薤露行』の菫の乙女
8 「熱」と「冷」のはざま――もうひとつの「英詩」

三章 漱石のポー論
 1 「豊胆」、「緻密」な創造力――想像と狂気
 2 ポーの受容
 3 「一体ニ様の見解」 

四章 二人であることの病い――漱石の『こゝろ』とポー 
 1 二つの語り――追跡者と告白者 
2 わが行手を阻む恐ろしの影「良心」とは何ぞ――「先生と遺書」と『ウィリアム・ウィルソン』
 3 荀子「心は動くものなり」
 4 谷崎『金と銀』

五章 暗黒への旅――『坑夫』の成立

六章 漱石における「個人」と「国家」
 1 漱石の「私の個人主義」
 2 『点頭録』と「軍国主義の未来」
 3 漱石の日露戦争観
 4 『趣味の遺伝』

七章 遅れて来た死――漱石の『こゝろ』と鴎外『興津彌五右衛門の遺書』
 1 乃木殉死をめぐる二作品
 2 「明治の精神」――二人の「父」の違い
 3 鴎外『興津彌五右衛門の遺書』――ゆらぐ心

八章 迷宮都市の光と影――『彼岸過迄』
 1 迷宮への案内人――蛇の「洋杖(ステッキ)」
 2 三四郎から敬太郎へ
 3 都市の群衆と遊民の誕生――遊歩者(フラヌール)flaneurのまなざし
 4 探偵v.s.遊民――光と影のなかの追跡
 5 夜の都会の散歩者、ノクタンビュリズム
 6 〈こころの迷路(メーズ)〉へ――「須永の話」
 7 「須永の話」と『地下室の手記』
 8 恐れる男と恐れない女――「蒸留型人間」と「直情型人間」
9 「人間は妙に纏めにくいもの」――近代人の複雑な心理
10 「心理主義」の系譜――スタンダール『赤と黒』
11 漱石とドストエフスキー
12 ドストエフスキー、ポー、漱石の『ポー論』

九章 ハーン・転生・『夢十夜』第一夜
 1 ハーンと漱石――ふたりの「怪談」作家
 2 ハーンの〈古い塔の螺旋階段〉――『茶碗の中』の意味
 3 ハーン訳、ゴーティエ『クラリモンド』(死女の恋)
 4 漱石『夢十夜』第一夜と『クラリモンド』
 5 黒い長い髪にしばられる
 6 ハーンのエッセイ『永遠の女性』

十章 『明暗』――ポリフォニーの世界と他者
 1 『行人』から『明暗』へ
 2 〈自我確立〉神話の崩壊
 3 偶然性の世界
 4 ポリフォニー(多旋律)と〈対話〉
 5 「突飛」について
 6 「世の中」、「大きな自然」、「則天去私」
 7 意識と「偶然」
 
十一章 漱石の「風景庭園」論とピクチャレスク美学――ポープ、ターナー、ワーズワース
 1 『英国詩人の天地山川に対する観念』――「イタリアの光」
 2 ワーズワースのピクチャレスクとギルピン

十二章 夢想の『庭』――漱石、蕪村、王維
 1 王維の山居――「山あいの家」
 2 冬鶯むかし王維が垣根かな
 3 蕪村と王維――郷愁とピクチャレスクの詩人
 4 古庭に鶯啼きぬ日もすがら
 5 風景と夢想――蕪村と西行

 付論 荒野からピクチャレスクへ――ポー、ホーソン、ジェイムズと「理想の風景」

 あとがき

 参考文献一覧
 人名・作品名索引

ページトップへ